米大統領選がビットコインに与える影響は?

アメリカで起きている分断は、経済、人種、民主主義の健全性を求める争いなどのあらゆる場面にまで広がった。2020年のアメリカ大統領選挙は史上最も緊迫したものになるだろう。

ニューヨーク・金融街のオプショントレーダーが、11月の大統領選の頃に市場のボラティリティが高まるという予想を価格に織り込んでいるとしても驚きではない。

ゴールドマン・サックスのアナリストは、大統領選の前後にS&P500株価指数で3%近い価格変動が見込まれていると指摘する。一方、ビットコインのオプション市場は時に株式市場の影響を受けることがあるが、期先の11月物の値動きを見る限り、目立った動きはない。

データサイトのスキュー(Skew)によると、ビットコインの3カ月インプライド・ボラティリティは先週末、2カ月ぶりの低水準となる年率換算60%まで落ち込んだ。

ビットコインのボラティリティは今後数カ月、低下すると見込まれている。
出典 : Skew.

ビットコインのオプション市場はその取引規模が小さく、9月に満期を迎える取引の影響を受けていることなどのテクニカル要因が、ボラティリティの低下予想に繋がっているのかもしれない。

また、ビットコインは国際的に取引されている資産であり、アメリカ大統領選挙の影響は限定的とする見方もある。

「大統領選挙のビットコインへの影響は、株価に対する影響よりも小さいだろう」と流動性プロバイダー、GSRのリチャード・ローゼンブラム氏はコメントする。

続くDeFi人気

急成長するDeFi(分散型金融)分野では、数カ月にわたって驚くような進展と馬鹿げた出来事が続いている。

ヤム(YAM)やスシ(SUSHI)といった名前のデジタルトークンが一夜にして現れ、価値を爆発的に膨らませ、暗号資産(仮想通貨)関連のニュースを独占し、デジタル資産市場と金融テクノロジーの広範囲にわたる潜在的可能性についての真剣な議論を巻き起こしている。

DeFiプラットフォームに預け入れられた担保の総額が先週、年初から20倍以上となる130億ドル(約1兆3700億円)に達するなか、バイナンス(Binance)、コインベース(Coinbase)、オーケーエックス(OKEx)などの大手中央集権型暗号資産取引所は、チャンスを逃すまいとDeFiトークンの上場とDeFi関連商品の展開を急いでいる。

例えば、暗号資産運用会社のパンゾラ(Panxora)は、DeFiトークンを購入する新たなヘッジファンド向けに最大で5000万ドル(約53億円)の資金調達を目指している。

「金融のやり方を本当に変える可能性を秘めている」とパンゾラのギャビン・スミスCEOはインタビューで語っている。

皮肉なことだが、パンゾラの発表はDeFi市場が沈静化してきたようなタイミングで行われた。データサイトのDeFiパルス(DeFi Pulse)によると、この1週間でDeFiの担保総額は95億ドル(約1兆円)付近まで減少した。

DeFiプラットフォーム、AaveのLENDトークンは暗号資産調査会社のメッサーリ(Messari)によると、22日までの7日間に12%下落した。

スミスCEOは、調整は避けられなかったと示唆している。

「市場が初期の数年間は不安定になることは織り込み済みだ。大きな可能性がある一方で、途中には必ず後退局面がある」(スミスCEO)

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstock
原文:First Mover: Bitcoins Hit Exchanges as Bloomberg Touts Crypto and DeFi Hedge Fund Seeks $50M