創業260年、ドイツの老舗銀行がユーロ・ステーブルコインを開発──ステラ・ブロックチェーンを活用

260年以上の歴史があるドイツの銀行が、ステラ(Stellar)ブロックチェーンを使って、ユーロに連動するステーブルコインを発行しようとしている。

1754年に設立された老舗銀行のBankhaus von der Heydt(BVDH)は12月9日、デジタル資産のトークン化やカストディ(保管)技術を開発するビットボンド(Bitbond)と共同で、ステラ・ブロックチェーンでステーブルコインの直接発行に取り組んでいると発表した。

ビットボンドはすでに、ステラ開発財団と決済ネットワークのテンポ(Tempo)と連携し、トークン化された債券をステラ上で発行する認可をドイツの連邦金融監督庁(BaFin)から受けたと、同社CEOのラドスラフ・アルブレヒト(Radoslav Albrecht)氏は述べた。

「証券をトークン化する技術を使えば、ボラティリティの高い暗号資産(仮想通貨)としてではなく、ステーブルコインとして決済手段をチェーン上に実現できる」とアウブレヒト氏はインタビューで述べた。

「銀行は通常、潜在的なカウンターパーティリスクに対して、米ドルに連動するテザー(USDT)やUSDコイン(USDC)のようなステーブルコインを使おうとは考えないだろう。彼らは銀行自らが発行するステーブルコインを好む。それは機関投資家も同じだ」

ステーブルコインの開発は、BVDHがステラを使って証券のトークン化をテストした後、スタートした。

暗号資産へのシフト

ミュンヘンに拠点を置くBVDHは、証券化、資金管理、M&A(合併・買収)といった伝統的な分野での業務を行ってきた。しかし、数年前からデジタル資産に注力するようになったとBVDHの事業開発担当者、ルーカス・ウェニガー(Lukas Weniger)氏は述べる。

現在流通しているステーブルコインの大きなデメリットは、完全に認可を受けた銀行が発行していないことと、同氏は指摘する。

「ステーブルコインは慎重に扱うべきプロダクトであり、結局、ユーザーからの信頼が求められる。他のプロダクト、例えばテザー(USDT)を見ると、ある種の信用問題が存在するだろう。それは、テザーが監査報告書を提出していないなどの事実と関係している」と述べた。

送金された法定通貨は、BVDHのエスクロー口座で保管され、ステーブルコイン発行のトリガー(引き金)になると、ウェニガー氏は話す。厳格な規制と顧客確認(KYC)要件によって、ステーブルコインは取引所では公開取引されない。

同氏によると、ユースケースの面では、銀行発行のステーブルコインはDVP(delivery versus payment:株式取引における決済方法)をブロックチェーン上で実行される効率的なプロセスにするという。

「ドイツだけでも、トークン化された証券の発行を望み、また効率的な決済方法も望んでいる複数の不動産開発業者と議論している」とウェニガー氏は続けた。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:Marian Weyo/Shutterstock
原文:One of the World’s Oldest Banks Is Issuing a Euro Stablecoin on Stellar