損切りが早すぎた?ノボグラーツ氏の仮想通貨投資銀行、ビットコインなどで300億円の損失

損切りが早すぎた?ノボグラーツ氏の仮想通貨投資銀行、ビットコインなどで300億円の損失

Brady Dale
公開日:2019年 5月 5日 09:00
更新日:2019年 5月 5日 09:00

ヘッジファンドの元マネージャーで投資家のマイケル・ノボグラーツ(Michael Novogratz)氏が設立した仮想通貨マーチャントバンク「ギャラクシー・デジタル・ホールディングス(Galaxy Digital Holdings)」は2018年第4四半期、9700万ドル(約107億円)の純損失を計上した。4月29日(現地時間)、同社が明らかにした。

カナダ当局への提出文書によると、純損失は第3四半期の7670万ドル、前年同期の10万ドルから拡大した(2018年2月、ニューヨークを拠点とするギャラクシーはカナダ企業を逆買収した)。

設立1年目の2018年通期では2億7270億ドル(約300億円)の損失となった。損失のうち1億140億ドルは価格が下落した仮想通貨の売却によるもの。

また同社は保有する仮想通貨の下落による含み損7550万ドル、未実現の企業投資による損失850万ドルも抱え、さらにオペレーション・コストも8840万ドルに達した。

どの仮想通貨が損失の要因?

2018年末時点で、ギャラクシーは9724ビットコイン(3640万ドル)、9万2545イーサ(1230万ドル)、240万EOS(600万ドル)、そして6万227のモネロ(280万ドル)を保有していた。同社は2018年はじめから、ビットコインとイーサリアムに積極的に投資し、年初の5902ビットコイン、5万7000イーサから保有額を増やした。

また同社は、かなりの額のWax(5020万ドル)とBlockV(1740万ドル)を保有していたが、2018年末には同社の投資トップランクから消えた。

提出文書によると、ギャラクシーはビットコインの売却(7030万ドル)とイーサリアムの売却(6440万ドル)で大きな損失を出した。損失は他の仮想通貨の空売り(詳細は明らかにされていない)で得た5430万ドルで一部補填した。

ビットコインは2018年当初、大きな損失の原因となった。一方、イーサリアムは2018年のそれ以降の期間に大きな損失を招いた。

興味深いことに、同社はWaxの下落で4700万ドルの損失を出している。Waxはビデオゲームで使われるアイテムのようなバーチャルグッズの取り引きを促進するために作られた仮想通貨。

他にも複数のアルトコインの下落で損失を出した。Kinは損失額1090万ドル、BlockVは損失額1720万ドル、Aionは損失額860万ドル。EOSでも約500万ドルの損失となった。

幅広い投資も損失の要因に

ギャラクシーが保有する数多くの企業の株式、投資ファンドの価値も下落した。

例えば、Pantera ICO Fund LPへの投資は1410万ドルの損失となった(ギャラクシーは現在、同ファンドに1740万ドルを投資している)。またカナダを拠点とするHut 8 Mining Corpの株式では1130万ドル、仮想通貨ウォレット企業Xapoでは1110万ドルの損失となった。

2018年末時点で、ギャラクシーはEOSの開発会社Block.Oneの株式を4190万ドル保有。加えて、ソフトウエアEOS.IOのエコシステム開発に焦点をあてたGalaxy EOS VC Fundに500万ドル以上を投資している。

同様に、決済スタートアップのリップルラボ(Ripple Labs)にも、「特別な手段による間接投資」を含めて、2380万ドルを投資している。

またギャラクシーは、Hut 8 Mining、Bitfuryなどのマイニング・ビジネスに2600万ドル、資産管理サービスとマルチシグウォレットを提供するBitGoに750万ドル、ニューヨーク証券取引所の親会社ICEが開設予定のビットコインに特化した取引所Bakktに500万ドルを投資している。

その他の投資先には、仮想通貨に注力しているSilvergate Bankの親会社Silvergate Capital Corporation、トークン関連スタートアップのAlphaPointとTemplum、投資ファンドのCryptology AssetとPantera Venture Fund、最近設立されたSan Juan Mercantile Exchangeを運営しているプエルトリコのMercantile Global Holdingsなどがある。同社はまた、仮想通貨を担保に米ドルでのローンを提供するBlockFiに380万ドル出資している。

リスク要因

今後、ギャラクシーが直面する可能性のあるリスクについて、提出文書はCEOであり主要株主であるノボグラーツ氏への権力の集中を特記した。同氏はギャラクシーの株式の71%以上を保有している。

規制やマーケットのリスクとともに、ギャラクシーは「マイケル・ノボグラーツ氏に極めて依存しており、株主は重大かつ予測不可能な『キーマン』リスクに晒されている」と文書は記した。また、CEOの「興味は他の株主とは異なる可能性」があり、同氏が「ギャラクシー・デジタル・ホールディングス以外の活動に興味を持つ、あるいは他の目的のために同社を辞める」という危険性もあると付け加えた。

さらに注目すべきこととして、提出文書には以下のように書かれていた。

「ノボグラーツ氏の公的な活動によって、当社は規制当局の調査対象となる可能性が高まっている。当社が違法行為に関与したか否かにかかわらず、そうしたことは当社にとっては大きなコストとなり、障害となる」

翻訳:Masaru Yamazaki
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Image of Mike Novogratz via CoinDesk archives 
原文:Novogratz’s Galaxy Digital Crypto Fund Lost $272.7 Million in 2018