テロ資金供与における“特別な懸念”:暗号資産で新財務長官のイエレン氏

暗号資産(仮想通貨)はテロ資金供与における「特別な懸念事項」だ。米財務長官に就任予定のジャネット・イエレン(Janet Yellen)氏が19日、上院金融委員会での指名承認公聴会で発言した。

「この問題に対処するためのテクノロジーは時間とともに変化し、テクノロジーを利用したテロ資金供与に取り組むための我々の方法は、それに応じて変化させる必要がある。暗号資産は特別な懸念事項だ」と、イエレン氏は、テロ資金供与における暗号資産の利用を「高まる懸念」と主張した民主党のマギー・ハッサン(Maggie Hassan)上院議員の質問に答えるかたちでコメントした。

ハッサン上院議員は昨年、テロリストが資金集めに利用する可能性のある新しい金融テクノロジーの検証についての条項を含む、「国防権限法(National Defense Authorization Act)」について質問していた。

「少なくとも取引という意味で、主に不法な資金調達のために多く(の暗号資産)が使われており、そうした利用を抑制するための方法を検討し、マネーロンダリングが発生しないことを確実にする必要が大いにあると考えている」(イエレン氏)

連邦当局は現在、フランス人プログラマーの故ローラン・バシュリエ(Laurent Bachelier)氏から極右グループに13.5ビットコイン(BTC)が送金された12月の事案と、今月上旬の連邦議会議事堂襲撃との関係を捜査している。送金の複数の受取人は6日の襲撃現場にいたと見られている。

イエレン氏は米連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めていた当時、暗号資産分野を過剰に規制することは望んでいないと述べたが、任期中や退任直後、複数回にわたってビットコインに対する懐疑的な考えを述べている。

財務長官就任後、取引所に対して取引相手のウォレット情報の収集・保管を義務づける規則をはじめ、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)が提案している多くの規制を監督することになる。

上院での指名承認投票は21日に行われる見通しだ。

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:ジャネット・イエレン元FRB議長(Shutterstock)
|原文:Janet Yellen Says Cryptocurrencies Are a ‘Concern’ in Terrorist Financing