VISA、銀行用ビットコインAPIの試験運用を開始──黒人コミュニティ向けデジタル銀行を支援

VISA、銀行用ビットコインAPIの試験運用を開始──黒人コミュニティ向けデジタル銀行を支援

ビザ(VISA)は3日、銀行がビットコインの取引サービスを提供するためのAPI(application programming interface)を試験運用すると発表した。

API:コンピュータプログラムの機能・管理データを、外部の他のプログラム(ソフトウェア)から呼び出して利用する方法を定めたルール。

ビザが取り組んでいくのは「ビザ・クリプトAPI(VISA Crypto API)」。ビザのクライアント企業は、連邦政府から認可を得たデジタル資産銀行のアンカレッジ(Anchorage)が提供するインフラに接続できる。企業は顧客に既存のユーザーエクスペリエンス(UX)で、ビットコインなどのデジタル資産を売買できるという。

ビザは、ビットコインだけでなく他の暗号資産(仮想通貨)や、米ドルに連動するステーブルコインに対応しながら、暗号資産に関連する他のサービスにまで広げたプロダクトを構想していると、ビザの暗号資産責任者を務めるカイ・シェフィールド(Cuy Sheffield)氏はCoinDeskの取材で述べた。

デジタル銀行のファースト・ブルバード(First Boulevard)が、今回の試験運用に参加する。

ビザはこれまで、暗号資産企業が銀行カードを発行するためのサポートをしてきた。すでに35の暗号資産企業と提携している。同社が銀行に暗号資産サービスを提供するのは今回が初となる。

ビザが1月に行った決算説明会で、アル・ケリー(Al Kelly)CEOは、ステーブルコインは「グローバルコマース」に利用できる可能性があり、「特定のデジタル通貨が価値交換の手段として認められたなら、ビザがその通貨を自社ネットワークに追加できない理由はない」と述べた。

戦略の次のステージ

「これはビザの戦略を次のステージに移行させるものであり、いかにして数千の金融機関との架け橋となり、(中略)成長を続ける暗号資産とブロックチェーンへの参入を支援できるかを検討している」とシェフィールド氏はコメントした。

「ビットコインを購入するためのドル・コスト平均法や、報酬としてビットコインを獲得するといったことに対して、初期段階のテストや消費者の反応がどのようなものになるか、今からワクワクしている」(シェフィールド氏)

同様にデジタル資産運用会社のNYDIGは、銀行にモバイルバンキングサービスを提供しているムーブン(Moven)と提携し、暗号資産の売買・保有のためのNYDIGのAPIを、ムーブンの銀行顧客に提供する。

VISAとNYDIGの取り組みは、米通貨監督庁(OCC)が、銀行による暗号資産のカストディ(保管)と、ステーブルコインを利用した決済などを認めた複数の書簡を発表したことを受けての動きだ。

またビザの発表は、アンカレッジがOCCから認可を受けた初の暗号資産銀行となった後だったが、同行が認可を得る以前から、アンカレッジおよび規制当局とともにこのプロダクトに取り組んできたとシェフィールド氏は語った。

黒人コミュニティ向けサービス

またこの発表と同じタイミングで、ビザは黒人コミュニティ向けにサービスを提供する銀行とフィンテックの5社と提携し、金融・ビジネスサービスを展開すると発表した。

ビザのAPIテストに最初に参加するファースト・ブルバードは、アフリカ系アメリカ人向けに金融ツールを開発しており、今年前半にサービスを開始する方針だ。

ファースト・ブルバードの総裁兼CEOのドナルド・ホーキンス(Donald Hawkins)氏は、同行はビットコインの関連サービスとビザとのパートナーシップを活用して、黒人コミュニティが直面する貧富の差を解消するために、顧客にビットコイン教育を提供していくと語った。

同氏は、将来的に顧客が暗号資産投資について、YouTubeではなく同行を頼ってくれることを期待していると述べた。

ファースト・ブルバードは現在、黒人オーナー企業に対する支払いに対して、顧客に15%のキャッシュバックを行っている。将来、そうしたキャッシュバックによる報酬を、暗号資産投資や高利回りの暗号資産預金口座に移せるようにしていく。

金融リテラシーの入口

ファースト・ブルバードは、暗号資産サービスのAPIに加えて、金融教育でもビザと提携していく。

「暗号資産は金融リテラシーの入口。ビットコインとはなにかを説明するだけで、お金や投資の重要な考え方について人々を簡単にワクワクさせることができる」(ビザのシェフィールド氏)

さらに、不動産投資やマイクロ投資(小口投資)向けのサービスも提供していく計画だ。

通常、伝統的な金融業界にある銀行は、暗号資産領域に参入するために取締役会や経営陣から了承を得る必要がある。しかし、ファースト・ブルバードでは、暗号資産分野への参入は「運良く起きた」とホーキンス総裁兼CEOは述べた。

「当行のターゲットは黒人のZ世代とミレニアル世代の女性。我々のチームの大多数は、まさに我々のターゲットと同じだ。(中略)暗号資産は初期の頃から我が社で注目の的だった」

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:カリフォルニア州フォスターシティにあるビザ本社(David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images)
|原文:Visa Signals Further Crypto Ambitions With API Pilot for Bank Customers to Buy Bitcoin

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