- JPモルガンによると、デジタル資産への資金流入額は年初来で600億ドルに急増した。
- JPモルガンは、アメリカの新たな法律によって長らく待ち望まれていた規制の明確化がもたらされ、ベンチャーキャピタルと公開市場の両方からの関心を集めていると指摘した。
- また、アルトコインの需要も高まっていると指摘した。
ウォール街の銀行JPモルガン(JPMorgan)によると、デジタル資産への資金流入は今年記録的なペースで増加している。プライベートエクイティ市場やプライベートクレジット市場への資金流入額の減少とは対照的だ。
JPモルガンは23日のレポートで、デジタル資産への純資金流入額が年初来で600億ドル(約8兆7000億円、1ドル145円換算)に達したと推定しており、同社が5月末に出した数字から約50%増加したと指摘した。
この数字には、暗号資産ファンドの資金流入額、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物取引、暗号資産ベンチャーの資金調達が含まれている。
ニコラオス・パニギルツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏が率いるアナリストチームは、「過去数ヶ月にわたるデジタル資産への資本流入の急増は、アメリカの有利な規制に支えられている可能性が高い」と述べた。
著者らは特に注目すべきこととして、議会でGENIUS法案が可決されたことで、待ち望まれていたステーブルコインに関する規制の明確化が図られたと指摘した。ドルに裏付けられたトークンの国際基準が確立され、海外での競争的な反応が引き起こされたという。
中国はデジタル人民元の導入を推進しており、香港でも人民元に裏付けられたステーブルコインの開発が進められている。
一方、現在議会で審議中のCLARITY法案は、デジタル資産が証券かコモディティ(商品)かを定義することを目的としており、EUの暗号資産市場規制(MiCA)の枠組みと比較して、アメリカが暗号資産ネイティブな企業にとってより魅力的になる可能性があると報告書は述べている。
このより友好的な規制環境は、非上場と上場の両方の暗号資産市場の復活を促している。JPモルガンは、暗号資産ベンチャーキャピタルからの資金調達が増加している一方で、サークル(Circle)社の新規株式公開(IPO)と米証券取引委員会(SEC)への一連の新規申請を受けて、上場市場の関心が高まっていると指摘した。
この報告書によると、アルトコインもあらためて投資家の注目を集めており、特にイーサリアム(ETH)は分散型金融(DeFi)とスマートコントラクトにおける中心的な役割から恩恵を受け、ビットコイン(BTC)と並んで企業のトレジャリー(財務)に組み入れられるケースが増えている。
報告書は、資産運用会社が新たなアルトコインベースの暗号資産ETF(上場投資信託)の検討を開始しており、その一部はステーキング機能を備えていると指摘した。これは、ビットコイン以外にも機関投資家の関心が高まっていること示しているという。
|翻訳・編集:林理南
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|原文:Crypto Inflows Surge to $60B Year-to-Date, Outpacing Private Equity: JPMorgan


