- イーサリアムは過去最高値近辺で取引されており、トム・リー氏は2025年末までに1万5000ドルに達すると予測している。
- ETHを直接所有するのはエコシステムへのアクセスが可能になるが、保管とセキュリティ管理が必要だ。
- 現物ETFは規制されたエクスポージャーを提供するが、ステーキング機能を追加する提案はSECが審査中だ。
- ビットマインのような上場ETH財務企業は、間接的にETHへのエクスポージャーを提供するが、企業自体および株式市場のリスクが伴う。
イーサリアム(ETH)は過去最高値近辺で取引されており、トム・リー(Tom Lee)氏の年末目標を1万5000ドルとする強気な予測によって、ETHへのエクスポージャーを最大限に高める方法が注目を集めている。
市場の状況
CoinDeskのデータによると、時価総額第2位の暗号資産(仮想通貨)であるイーサリアムは、記事執筆時点で4760ドル付近で取引されており、過去最高値近辺で推移している。これは、機関投資家によるETH採用の増加に伴う投資家の強い需要を反映している。
ファンドストラット(Fundstrat)の調査責任者で、ファンドストラット・キャピタルのCIO、そしてビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ(BitMine Immersion Technologies)の会長を務めるトム・リー氏は7月、CoinDeskに対し、ETHは2025年末までに1万5000ドルに達する可能性があると述べた。リー氏の発言は、ステーブルコイン、分散型金融(DeFi)、そして現実資産(RWA)のトークン化におけるイーサリアムの重要性の高まりに対する新たな楽観論を浮き彫りにしている。
ETHの直接所有:最も純粋な選択肢
ETHを直接所有することが、最もシンプルな参加方法だ。保有者は資産の完全なコントロール権を獲得し、イーサリアムの分散型金融(DeFi)、NFT(非代替性トークン)、そしてステーキング・エコシステムに直接アクセスできるようになる。ETHは世界中の市場で24時間365日取引されているが、投資家は自己管理型ウォレットか第三者機関のカストディアンを通じて、保管とセキュリティを管理し、進化する規制にも対処する必要がある。コストは通常、取引所の手数料とガス代程度だ。
ETH現物ETF:規制によるシンプルさ、ステーキングは保留中
ETH現物ETF(上場投資信託)により、従来の投資家は証券口座を通じて規制対象のETHへのエクスポージャーを得ることが可能になった。一部の発行主体は現在、アメリカ証券取引委員会(SEC)に対し、自社商品へのステーキング機能追加許可の申請を行っている。
承認されれば、ステーキングによりファンドはイーサリアムのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)ネットワークに貢献することで追加の利回りを獲得し、その収益を株主に還元できるようになる。これはアメリカの暗号資産ETFとしては初めての試みだ。
著名なETFアナリストのネイト・ジェラシ(Nate Geraci)氏は7月30日、SECが他の暗号資産商品の申請を審査する前に、ステーキング対応のイーサリアムETFがターゲットになる可能性が高いと述べた。
彼は、規制当局がまずステーキングを厳格に審査するだろうと予想をしている。なぜなら、ステーキングはDeFi固有の仕組みと従来のファンド構造を融合させるからだ。投資家にとって、これはステーキング対応ETFが価格上昇以外の収益源を追加することで、エクスポージャーを再構築できることを意味する。ただし、規制当局が保管、透明性、市場操作に関する懸念に対処できると確信した場合に限られる。
現時点では、SECはステーキングを可能にする修正案を受理したが、まだ承認しておらず、承認時期は不透明だ。
財務戦略企業の株式:ボラティリティが追加される
もう一つの投資方法は、イーサリアムを財務に保有する上場企業の株式に投資することだ。例えば、ビットマインは8月18日に、150万ETH超(約73億ドル、約1兆585億円:1ドル=145円換算)を保有していることを公表した。
このアプローチは、株主価値をETHの価格変動、そして場合によっては企業のステーキング収入に結び付ける。しかし、株式へのエクスポージャーには新たなリスクが伴う。
資金調達リスク:企業はETH購入のために新規株式を発行するので、株価の上昇が必要だ。株価の低迷は、企業の財務保有を増やす能力を直接的に制限する。
二重のボラティリティ:ETHが上昇したとしても、企業の株価は無関係な要因(収益、センチメント、ガバナンス)により下落する可能性があり、投資家はETHの価格変動を超えたリスクに直面することになる。
選択肢の比較
ETH直接投資
メリット:完全なコントロール、DeFi/NFTへのアクセス、24時間365日の流動性
デメリット:保管およびセキュリティリスク、規制の不確実性
最適な投資家:ウォレットに慣れた実践的な投資家
ETH現物ETF
メリット:規制されている、証券会社へのアクセスが簡便、ステーキング利回りの可能性(承認された場合)
デメリット:手数料、SECのハードル、DeFiへアクセスできない
最適な投資家:シンプルさを求める従来型投資家
財務戦略企業
メリット:ETHへのエクスポージャーに加え、企業の成長/ステーキングによるリターンの可能性
デメリット:ボラティリティが倍増、希薄化リスク、ガバナンスリスク
最適な投資家:ハイブリッドな投資戦略を求める株式投資家
最適な道を選ぶべき
ETH が過去最高値付近にあり、大胆な予測が投資家の関心を煽る中、2025年の課題は、イーサリアムを保有すべきかどうかというよりも、各投資家のリスク許容度に最も適した手段を選択することにある。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Getting ETH Exposure in 2025: Ether Near Record Highs, Tom Lee Sees $15K by Year End


