- あるクジラ(大口保有者)が2万4000BTCを売却したと報じられたことを受け、ビットコインは24日にフラッシュクラッシュを経験し、パウエルFRB議長のハト派的な講演による上昇分を失った。
- パウエル議長の講演で利下げの可能性が示唆されたにもかかわらず、ビットコインのオプショントレーダーは依然として慎重で、弱気なセンチメントと価格下落に対するヘッジを反映している。
ビットコイン(BTC)のクジラが流動性の低い市場環境で売却したことで、ビットコインは夜間取引で11万1000ドルを下回り、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長のハト派的な講演によって引き起こされた22日の急騰から反転した。
この暗号資産(仮想通貨)の価格は、協定世界時(UTC)7時40分までの10分足らずで、11万4666ドルから11万2546ドルへと2%超の下落。ブロックチェーンデータ企業Timechainindex.comによると、このいわゆるフラッシュクラッシュは、一人のクジラが3億ドル(約441億円、1ドル147円換算)超相当の2万4000BTCを売却したことで発生した。
「このエンティティは、合計2万4000BTCの残高を清算し、その全てをHyperuniteに送金した。本日だけで1万2000BTCを送金し、現在も活発に売却を続けており、これが価格下落の一因となっている可能性が高い」と同社のリサーチャー、サニ(Sani)氏はXで述べ、このクジラは関連するアドレス全体で、5266BTCを含む合計15万2874BTCを保有していると付け加えた。
「この資金は元々、約6年前にHTXから送金され、約2万4000BTCを含む一つのアドレスが関与する取引が最近行われるまで、活動的ではなかった」とサニ氏は指摘した。
CoinDeskのデータによると、価格は最終的に11万1000ドルを下回る安値を記録し、その後回復して本記事執筆時点で11万2800ドル付近で取引されている。
パウエル議長の発言による急騰から反転
パウエル議長がジャクソンホールでの年次講演で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の関税による長期的なインフレへの影響は軽微であるとし、利下げを支持する姿勢を示した後、22日に価格上昇が見られたが、今回の下落によりその上昇分が帳消しになった。
いわゆるハト派的な講演を受けて、米国株がリスクオンになりドル指数が下落する中、ビットコインは11万2500ドルから11万6900ドルへと4%近く上昇した。
アナリストのコミュニティは週末、9 月に利下げが行われ、ビットコインとイーサリアム(ETH)が史上最高値を更新する可能性があるとの自信を示した。
オプション市場は警戒姿勢
アンバーデータ(Amberdata)が追跡したデータによると、デリビット(Deribit)に上場しているビットコインオプションは、リスク回避が続いていることを示している。
具体的には、コールとプットを比較する投資家センチメントの指標である25デルタのリスクリバーサルは、12月の満期までマイナス圏で推移しており、ヘッジ活動と弱気な見方を反映している。
リスクリバーサルがマイナスであることは、価格下落に対する保険となるプットオプションが、コールオプションよりも高価であることを意味する。
言い換えれば、パウエル議長によるいわゆるハト派的な方針転換にもかかわらず、ビットコインオプショントレーダーは引き続き不確実性を価格に織り込み、下落ボラティリティの可能性に備えている。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:CoinDesk Archives
|原文:Bitcoin Reverses Powell Spike With a Flash Crash as Options Market Signals Jitters Ahead


