- 146億ドルを超えるビットコインとイーサリアムのオプションが8月29日に満期を迎える。これはデリバティブ市場における重要なイベントとなる。
- 建玉はビットコインのプットオプションへの強い需要を示しており、下落リスクへの備えを優先する動きが見られる。一方、イーサリアムのオプションはよりバランスが取れている。
- オプション市場は2020年以降、大きく成長しており、ビットコインとイーサリアムの最大ペインレベルであるそれぞれ11万6000ドルと3800ドルが主要な焦点となっている。
デリビット(Deribit)では、146億ドル(約2兆1170億円、1ドル=145円換算)超のビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)のオプションが8月29日に満期を迎える。これは2025年における最も重要なデリバティブ取引のイベントになりそうだ。
BTCはプットオプションに大きく偏っており、下落リスクへの備えに対する需要が継続していることを示唆している。一方、ETHはよりバランスが取れている。
デリビット・メトリクス(Deribit Metrics)のデータによると、記事執筆時点で、5万6452枚のBTCコールオプション契約と4万8961枚のプットオプション契約が期限を迎えており、建玉残高は合計116億2000万ドル(約1兆6849億円)に達している。デリビットは世界最大の暗号資産オプション取引所であり、世界の取引量の80%を占めている。デリビットでは、1つのオプション契約は1BTCまたは1ETHに相当する。

建玉を詳しく見ると、権利行使価格が10万8000ドルから11万2000ドルのプットオプションに取引が集中していることがわかる。一方、最も人気のあるコールオプションは12万ドル以上の価格帯に集中している。
言い換えれば、BTCの現在の市場価格である約11万ドル付近のプットオプションの人気が高く、より高い権利行使価格のコールオプションはさらなる上昇への期待を反映している。
イーサリアムの場合、期限を迎えるコールオプションは合計39万3534枚で、プットオプションの29万1128枚を大幅に上回っており、両者の建玉は合計30億3000万ドル(約4393億5000万円)に達している。
大きな建玉は、権利行使価格3800ドル、4000ドル、5000ドルのコールオプションと、権利行使価格4000ドル、3700ドル、2200ドルのプットオプションに集中している。
デリビットはXで、「BTCの満期は下落リスク回避の需要が根強いことを示している一方、ETHはより中立的な状況にある。ジェローム・パウエル(Jerome Powell)アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)議長のジャクソンホールでの発言と相まって、今回の満期は9月の市場動向を決定づける可能性がある」と述べた。

オプションとは、購入者に特定の期日までに、あらかじめ決められた価格で原資産を売買する権利を与えるデリバティブ契約だ。コールオプションは購入する権利を与え、市場における強気の賭けとなる。一方、プットオプションは価格下落に対する保険となる。
オプション市場は2020年以降、飛躍的に成長し、月次および四半期毎の決済が市場を動かす主要なイベントとして注目を集めている。
2021年までに、一部の観測筋は、満期直前の数日間で価格が「最大ペイン」レベル(オプション保有者が最大の損失を被る権利行使価格)に近づく傾向があると提唱した。しかし、この理論の妥当性はトレーダーやアナリストの間で依然として議論が続いている。
記事執筆時点で、ビットコインとイーサリアムの最大ペインレベルはそれぞれ11万6000ドルと3800ドルであり、最大ペイン理論の信奉者にとっての注目ポイントとなっている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Massive $14.6B Bitcoin and Ether Options Expiry Shows Bias for Bitcoin Protection


