パクソス、誤操作でペイパルのステーブルコインPYUSDを300兆ドル分発行
  • パクソスが誤ってイーサリアム上で300兆ドル相当のPYUSDを発行した。
  • 供給過剰はバーンメカニズムによってすぐに解消された。

10月15日、ステーブルコイン発行元のパクソス(Paxos)が誤ってペイパル(PayPal)のステーブルコイン「PYUSD」を300兆ドル(約4京5000兆円、1ドル=150円換算)相当、イーサリアム(Ethereum)上で発行した。これはブロックチェーン上の「入力ミス」によるエラーで、流通する米ドル総額2兆4000億ドル(約360兆円)を大幅に上回る規模だった。

「アメリカ東部時間午後3時12分、パクソスは内部での送金中に過剰なPYUSDを誤って発行した。パクソスは直ちに誤りを認識し、過剰なPYUSDを焼却した」とパクソスはXで発表した。

パクソスは技術的な不具合によりPYUSDの供給量が急速かつ意図せず拡大したが、迅速に特定・解決されたと説明した。セキュリティ侵害ではなく、顧客資金はすべて安全であるとパクソスは強調した。

それでも、担保がないまま、技術的な問題によってこれほど大量のステーブルコインが発行できたことは重大な懸念材料だ。

「注目すべきは金額ではない。担保が必要な資産が担保なしで発行可能だった事実だ」と、匿名の市場コメンテーターのVBL’s Ghostは指摘した。

記事執筆時点で、PYUSDは時価総額26億4000万ドル(約3960億円)で世界第7位のステーブルコインだ。トークンは流動性の高い優良準備資産で完全に裏付けられ、米ドルとの1対1のペッグを維持している。

暗号資産(仮想通貨)市場では過去にも誤操作によるミスが発生している。2019年には世界最大のドルペッグ型ステーブルコインであるUSDTの発行元のテザー(Tether)が、誤って50億ドル(約7500億円)相当のUSDTを発行し、直ちに破棄した。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Paxos Fat-Fingers $300T of PayPal Stablecoin, Outpacing USD’s $2.4T Supply

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