PayPalのステーブルコインは「分水嶺」──ライバルとは明確な違い:パクソス戦略責任者
  • ペイパルUSD(PYUSD)は、グローバル規模の決済会社PayPalが手がける初の規制を受けたステーブルコイン。
  • 顧客の資産は倒産からも保護される。

米ドル連動型ステーブルコインのライバルたちは、フィンテックの巨人ペイパル(PayPal)が独自ステーブルコイン「ペイパルUSD(PYUSD)」を発表したことに動揺していないようだ。だが、このプロジェクトにおけるペイパルのパートナー、パクソス(Paxos)によると、今回の動きはこの分野に規制をもたらす意味で「分水嶺」となるという。

現状、最も流通しているステーブルコインは、テザー(USDT)とUSDコイン(UADC)。前者は、暗号資産の黎明期にテザー(Tether)社が開発、6月に時価総額は832億ドルに過去最高を記録している。後者はアメリカに拠点を置くサークル(Circle)が取引大手のコインベース(Coinbase)と連携して発行している。

だが、ペイパルUSDと競合ステーブルコインの間には明らかな違いがあるとパクソスの戦略責任者ウォルター・ヘサート(Walter Hessert)氏は述べた。パクソスがニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の規制を受けていることだ。

「我々には健全な規制当局があるため、違いは極めて大きい」とヘサートはCoinDeskに語った。

「我々の場合、準備金の管理を含め、発行に関わるすべての活動を監督する規制当局が存在する。つまり、世界のどこにいても、ペイパルUSDの保有者は、ニューヨーク州が我々のために設定した監督と規則によって守られている」

倒産リスクの排除

これらの規制のうち、重要なものは倒産リスクの排除とヘサート氏。

「パクソスが倒産した場合も含めて、顧客の資産は保護されている。この間、暗号資産業界では複数の企業が倒産している。ステーブルコインを発行した民間企業の一般債権者になるようなことがあれば、それは現物のドルと同じとは言えない」

万一パクソスが破産した場合、規制機関であるNYDFSが介入するとヘサート氏は述べた。顧客は破産時に知らないうちに債権者になることはなく、資金はすべての保有者に返却されるという。

ペイパルのステーブルコイン参入は、テザー(USDT)はまだアメリカ市場に参入していないため、大きな影響を与えることはないだろうとがテザー社のCTO、パオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏は述べている。だがシリコンバレー銀行の破綻後、時価総額が減少しているUSDコイン(USDC)に匹敵するライバルになる可能性があるという。

ペイパルUSDについて意見を求められたサークルのジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)共同創業者兼CEOは「ほぼ即時、ボーダレス、プログラム可能な決済は、ステーブルコインという形で存在するという強いシグナル」とCoinDeskに述べた。

ペイパルは、数年前に暗号資産の売買・保有をサポートし、ブロック(Block)のCash App(キャッシュアップ)に追随して、暗号資産関連サービスを着実に進化させてきた。ステーブルコインの導入は、革新性という点では飛躍的なものだ。

テザー社やサークルと同様に、準備金は米国債などで保有される。米国債などの利回りは、ペイパルとパクソスがシェアする。

「テザー(USDT)とUSDコイン(USDC)は最近よく似ている。どちらも規制されておらず、どちらも今はかなり透明性が高い」(ヘサート氏)

ペイパルにコメントを求めているが、まだ返答はない。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:PayPal’s Regulated Stablecoin Is a ‘Watershed Moment’ in Crypto Space, Says Partner Paxos