ブラックロック、7つのデジタル資産ポジションを募集──同分野の戦略強化
  • ブラックロックは、暗号資産およびブロックチェーン戦略の拡大に向け、シンガポールを含む7つのデジタル資産関連の役職を募集している。
  • 米国を拠点とする一つの職種では、700億ドル(約10兆8500億円)規模のiShares Bitcoin Trust(IBIT)を含むiShares暗号資産ETFラインナップの拡大と、新たな暗号資産関連商品の開発を担う。
  • シンガポールを拠点とする職種は、アジア全域における同社のデジタル資産推進を主導し、長期戦略と先行者の機会の特定に重点を置く。

BlackRock(ブラックロック)は、トークン化資産やオンチェーン資産への機関投資家の関心が高まる中、暗号資産(仮想通貨)およびブロックチェーン関連商品を世界的に拡大することを目指し、新規採用を相次いで実施し、デジタル資産戦略を強化している。

10兆ドル(約1550兆円)規模の資産運用会社であるブラックロックは、求人掲示板で、7つのデジタル資産ポジションを募集していると発表し、その内訳は米国拠点が7職種、シンガポール拠点が1職種となっている。これに先立ち、同社のデジタル資産部門責任者であるRobert Mitchnick(ロバート・ミッチニック)は先週、LinkedIn(リンクトイン)にこれらの募集職種について掲載していた。

米国のポジションの一つは、ブラックロックのiShares暗号資産ETF(上場投資信託)のラインナップ拡大に重点を置いている。「Vice President/Director, Digital Assets Product Strategist(デジタル資産商品ストラテジスト担当バイスプレジデント/ディレクター)」の求人では、暗号資産ETFを含む既存商品の拡大と、それらを機関投資家や資産運用顧客に展開する人材を求めている。現在、ブラックロックのiShares Bitcoin Trust(IBIT)の運用資産は700億ドル(約10兆8500億円)に上る。

この職種では、「強い商業的魅力を持つ次世代商品」の構築についても言及されており、従来の投資の枠組みを超えた事業展開を目指す同社の野心を示唆している。

シンガポールを拠点とする職種は、より広範な内容となっている。

シンガポールでは、規制の明確化と機関投資家の需要が加速しているアジア全域におけるデジタル資産戦略を形作るリーダーを求めている。この職種には、事業目標の設定と、世界的な優先事項と整合する形でこの地域における「先行者としての大型投資機会」を特定することが含まれる。複数年にわたる事業計画の策定も、職務の一部だ。

今回の採用強化は、暗号資産市場におけるブラックロックの存在感拡大をさらに後押しするものだ。同社は昨年、ビットコイン(BTC)現物ETFのローンチで注目を集め、暗号資産投資商品への記録的な資金流入を牽引した。

ETF以外に、同社は資産のトークン化戦略も拡大している。

ブラックロックのCEOであるLarry Fink(ラリー・フィンク)氏は、トークン化された資産が透明性と決済効率を高めることで資本市場を近代化する可能性について、公に発言してきた。同社は昨年、イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上でトークン化されたファンドをローンチし、Securitize(セキュリタイズ)などのインフラプロバイダーに投資し、パブリックブロックチェーンが規制対象の金融商品をどのようにサポートできるかを模索している。

ブラックロックの広報担当者からコメントを得ることはできなかった。

|翻訳・編集:廣瀬優香
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|原文:BlackRock continues its aggressive push into crypto with seven new global job openings

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