CO2削減に奔走するビットコインマイナー──再エネ使用の増加示すデータも

天然ガスで発電する電力を利用してビットコイン(BTC)マイニングが行う米グリーニッジ・ジェネレーション・ホールディングス(Greenidge Generation Holdings)は、6月1日から二酸化炭素(CO2)の排出枠を購入し、マイニング機器が排出するCO2の削減に取り組む。

同社は、温室効果ガス削減プロジェクトに投資し、マイニング機器のCO2排出量を100%相殺すると述べた。また14日に発表された声明によると、同社はマイニングで得た利益の一部を、ニューヨーク州の再生可能エネルギープロジェクトに投資していく。同社は40メガワット規模の天然ガス発電所を所有している。

マイニング施設の拡張計画に批判

合併による上場を計画しているグリーニッジは先月、ニューヨーク州北部のビットコインマイニング施設の拡張計画を発表し、批判を集めた。ビットコインマイニングに利用される電源が、CO2を排出する天然ガス発電所であることに加えて、冷却システムが地元の湖に影響を与える可能性があると、環境保護団体は指摘している。

「各プロジェクトは、American Carbon Registry(ACR)、Climate Action Reserve(CAR)、VerraのCO2排出削減プロジェクトのいずれかによって審査・認証されている。当社が資金を提供しているプロジェクトは、現実的、永続的、かつ検証可能な方法で温室効果ガス排出量を削減、あるいは吸収量を増加させることが保証されている」(同社リリース)

グリーニッジの取り組みは、ビットコインのCO2排出をめぐって激化する議論や取り組みの1つだ。エネルギーを大量消費するビットコインマイニングは、必要以上に気候危機を助長しているとの批判がある。一方で、ビットコイン支持派は、ビットコインのCO2排出量は世界のCO2排出量から見れば取るに足りないものだと主張する。

「すべてのマイニング事業者はグリーニッジを見習って、排出権を購入すべきだ。排出権はこの問題を解決するための効率的なツール」とCastle Island Venturesのパートナーで、マイニングをめぐる議論にコメントしているニック・カーター(Nick Carter)氏は述べた。

CO2排出をめぐる議論と取り組み

ビットコインのエネルギー消費については、さまざまなニュースが伝えられている。

例えば、中国政府は内モンゴルでの石炭採掘を取り締まる施策を始めた。石炭はCO2排出量が多いことで知られている。

また先週、米電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEOは、環境懸念を理由に、テスラ車購入時のビットコイン決済停止を発表した。マスク氏は「マイニングがより持続可能なエネルギーに移行したら」、同社はビットコインを再検討すると述べた。

こうした動きのなか、北米の一部のマイニング事業者は、エネルギーの調達先を100%再生可能エネルギーに移行し始めている。5月には「Crypto Carbon Accord」が作られ、2040年までに暗号資産マイニングをカーボンニュートラルにする取り組みに賛同する企業が増えている。

ビットコインマイニングに使われるエネルギーは、時期によっては36~76%が再生可能エネルギーとなっている。現在、中国のマイニング事業者は、石炭が豊富な新疆ウイグル自治区から水力発電が盛んな四川省へと移動している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Greenidge’s mining machines(Caleb Parker)
|原文:Upstate NY Bitcoin Miner Greenidge to Offset Rigs’ Carbon Emissions