ビットコインは底を打ったか?──機関投資家は活発な動き【市場動向】

ビットコインは当記事執筆時点、4万ドル付近で取引されている。一部のアナリストは、4万ドル超えを楽観視しているが、底を打ったと判断するには、より力強い上昇のサインが必要との見方も聞かれる。

「ビットコインは5月以来の高い水準にあり、注目すべき回復を見せているが、まだ4万1000ドルを突破していない。5万ドルを超える可能性を楽観視するには、より力強い上昇が必要だ」と取引プラットフォームeToroのアナリスト、サイモン・ピーターズ(Simon Peters)氏はCoinDeskに述べた。

ボイジャー・デジタル(Voyager Digital)共同創業者兼CEOのスティーブ・エーリッヒ氏は、「タイムリーな調整の後、ビットコインは4万ドルのレンジで安定し、リリーフラリー(安堵感からの上昇)に備えているため、市場心理と市場トレンドはポジティブになっている。ビットコインは、今後数カ月にわたって、2017年当時の史上最高値の2倍である4万ドルを超える強いサポートを受けると考えている」とコメントした。

機関投資家の動き

水面下では、機関投資家が暗号資産金融の未来を切り開いており、業界が毎日の値動き以上に、いかに速く進化しているかを思い起こさせる。だが、最近のバンク・オブ・アメリカの調査によると、ファンドマネージャーの約81%は、5月に価格が35%下落した後でも、ビットコインはバブル状態にあると考えている。

暗号資産が既存の金融サービス業界に統合されることで、価格変動が頻繁に起きたとしても、市場心理は改善する可能性がある。

14日、運用資産残高12億ドル(約1300億円)の暗号資産投資会社ビットワイズ・アセット・マネジメント(Bitwise Asset Management)は、7000万ドルの資金を調達、企業評価額は5億ドルとなった。同社のシリーズBの資金調達ラウンドには、ヘッジファンド業界の大物たちが参加した。

暗号資産は、さまざまな資産を扱う投資の世界に徐々に浸透してきており、ビットワイズの拡大計画やヘッジファンドとの関係がそれを証明している。また先週、管理資産40.3兆ドル、運用資産3.6兆ドルを誇る米ステート・ストリート(State Street)は、暗号資産部門を立ち上げた。

とはいえ、規制のハードルやメインストリームへの普及ペースを考えると、このような機関投資家の動きには時間が必要だ。現状、トレーダーやアナリストは、暗号資産の価格を上昇(あるいは下落)させる要因を待っている。

ビットコインのドミナンス

ビットコインのドミナンス(暗号資産全体の時価総額に占めるビットコインの時価総額の割合)は、1月はじめに70%を超えてピークに達した後、現在では50%を下回っている。

JPモルガン・チェースのアナリストは、現状のドミナンスは依然として低く、弱気のサインと見ている。

出典 : TradingView

「暗号資産市場全体でのビットコインのシェアが正常化し、おそらく(2018年のように)50%以上になれば、現在の弱気市場は終わったと言えると考えている」とJPモルガンのアナリストは9日に発表したレポートで述べている。

最近のドミナントの安定を強気サインと見る人もいる。

「アルトコインからビットコインに資金が戻った後、ビットコインの買いが進み、希少性が効力を発揮して価格が動くまで、横ばい状態が続くと考えている」とボイジャー・デジタルのエーリッヒ氏は述べた。

ビットコイン先物の建玉が上昇

ビットコイン先物の建玉(未決済の契約総数)は1カ月ぶりの高水準となり、一連のポジティブなニュースの後、暗号資産を取り巻く投機的活動が回復したことを示している。

データサイト、スキュー(Skew)のデータによると、ビットコイン先物の建玉は131億ドルにのぼり、5月19日以来の高水準となっている。この1カ月、建玉はほぼ105億ドル〜130億ドルの範囲で推移していた。

出典 : Skew

アルトコインの状況

●イーサリアムの取引手数料(ガス代)が下がったとはいえ、レイヤー2のソリューションのポリゴン(Polygon)に集まるDeFi(分散型金融)ユーザーや開発者が増えている。主な理由は、安価な取引コストと高速性だ。

●世界経済フォーラム(WEF)はレポートの中で、アルゴランド(Algorand)、カルダノ(Cardano)、セロ(Celo)、XRPL、ソラナ(Solana)、ステラ(Stellar)など、複数のブロックチェーンのスケーラビリティ(拡張性)に言及している。

●スイスのシグナム銀行(Sygnum Bank)は、aave、aragon、curve、maker、synthetix、uniswap、1inch networkなど、さまざまなDeFi(分散型金融)トークンのカストディ(管理・保管)と取引を開始する。

●ドージコイン(DOGE)のライバル「柴犬コイン(SHIB)」、ファントークン・プラットフォーム「Chiliz」の「CHZ」、パブリックブロックチェーンとプライベートデータのブリッジ・プラットフォーム「Keep Network」の「KEEP」がコインベース・プロ(Coinbase Pro)」に上場、取引は17日9時(太平洋時間)から可能になる。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Attempts to Push Bitcoin Above $40K Stall