ビットコインのアップグレード「タップルート」、起動【更新】

ビットコインのアップグレード「タップルート」、起動【更新】

協定世界時(UTC)11月14日5時15分(日本時間14日14時15分)、ビットコイン・ブロックチェーンの待望のアップグレード「タップルート(Taproot)」がブロック709,632で起動し、プライバシー、スケーラビリティ、セキュリティを向上させる新機能が稼働した。

※タップルートとは、植物の茎からまっすぐ下に伸びた主根(しゅこん)のこと。大根や人参は、主根が特に太くなったものだ。

タップルートは6月、90%以上のマイナーが「シグナル」で支持を表明したことで、実施が確定した。その後、起動までの待機期間が設けられ、ノード運用者とマイナーは、タップルートの複数のプログラムを含むBitcoin Coreの最新バージョン21.1にアップグレードするための猶予が与えられた。アップグレードを完了すると、新しいルールに基づいた、新しい取引が実行できるようになる。

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タップルートとは?

タップルートは、ビットコイン・ブロックチェーンにこれまでのさまざまな技術革新を1つのアップグレードにまとめたもの。その根底にあるのは「シュノア(Schnorr)署名」だ。

ビットコイン・ブロックチェーンは、ユーザーが自分の秘密鍵を使ってトランザクションを承認する「デジタル署名」に、ECDSAという方式を使ってきた。タップルートはこれを「シュノア」と呼ばれる別の方式にアップグレードする。シュノア署名によって、プライバシー、セキュリティ、スケーラビリティが向上する。

小型で高速なシュノア署名には、「リニア」であるというもう1つのメリットもある。その組み合わせが、ビットコインの取引プライバシーを向上させ、より軽量で複雑な「スマートコントラクト」(自己実行規則を伴う暗号化されたコントラクト)を可能にする。

タップルートはビットコイン・エコシステム全体のさまざまなプロジェクトに数多くの良い影響を与えることになる。

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プライバシー

タップルートは、世界中の開発者によるビットコイン・ブロックチェーンのプライバシーを向上させるための大きな取り組みの一部。ビットコインは取引履歴が公開されているため、誰でもMempool.spaceのようなブロック・エクスプローラーを使って、すべての取引を調べることができる。

それはタップルートでも変わらないが、複雑な取引(しばしば「スマートコントラクト」と呼ばれる)の詳細は隠すことができるようになる。例えば今、ライトニングネットワークの取引はブロックチェーン上で目立つようになっているが、タップルートでは他の取引と同じような扱いになり、プライバシーを向上させることができる。

スケーラビリティ

タップルートが取り組むもう1つの課題は、ビットコイン・ブロックチェーンの取引スペースの制約。これがビットコインのスケーラビリティに大きな問題をもたらしている。この制約は単純に増やすことはできないため、開発者は以前から利用可能なブロックスペースをより効率的に利用する方法を模索している。

シュノア署名は、複数の署名を1つにまとめることができ、ブロックチェーンに保存されるデータ量を減らすことができる。

タップルート起動後のビットコインに期待すること

現在、アップグレードの実施が明確になっているのは、ビットコイン・ノードの半分強に過ぎない。残りは古いソフトウェアを使用しているため、タップルードが起動しても新しいルールを実行することはできない。だが、その場合もネットワークは問題なく稼働する。

新しいソフトウェアにアップグレードしていないマイナーは、マイニングを正常に行うことはできず、ブロック報酬を得ることができなくなる。開発者たちはこれまで、マイナーにアップグレードの機会を十分に与えるために多くの努力を行ってきた。実際、90%以上のマイナーがアップグレードの予定を表明している。これが、タプルートが6月に「実施確定」できた理由であり、稼働開始までに5カ月の猶予があった背景だ。

タップルードが起動しても、すべての作業が完了するわけではない。ユーザーは、ビットコイン・ウォレットがタップルートに対応するまで、取引はできない。現状、多くのウォレットはまだ対応していない。

これまでの歴史を振り返ると、ウォレットの対応には数カ月から数年かかる可能性がある。例えば、ビットコイン・ブロックチェーンの前回の比較的大きなアップグレード「SegWit」では、対応率が50%に達するまでに約2年かかった。

言うまでもなく、タップルートでは複雑なユースケースが可能になるが、開発者はそのためのツールを開発し、実装しなければならない。

重要なことは、タップルートによって新しい開発や新しいソリューションが可能になることだ。タップルートは開発者にとって、アイデアを出し、チャレンジし、開発を続けるための大きな道具箱のようなもの。すでに新しいプロジェクトがいくつかスタートしている。そしてこれから、まだ誰も見たことのないものがスタートするだろう。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Taproot, Bitcoin’s Long-Anticipated Upgrade, Activates This Weekend
※編集部より:一部修正して、更新しました。

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