ビットコインのアップグレード「タップルート」で、ゴールドとの違いが浮き彫りに?

ビットコインのアップグレード「タップルート」で、ゴールドとの違いが浮き彫りに?

ビットコイン最強のナラティブは「デジタルゴールド」だ。投資家たちはビットコイン(BTC)が現在の市場でゴールドと同じような値動きをすることを期待しているのではなく、文化や時代を超えてゴールドが保ってきた歴史的な重要性を、ビットコインもいつの日か持つようになることを期待して、投資する。

テクノロジーは進化する

私の同僚のジョージ・カロウディス(George Kaloudis)は最近、ビットコインが決してゴールドのようにはならない、重要な側面が1つあるということを、私に思い出させてくれた。金庫の中でも、地下に眠っていても、ゴールドは常にゴールドだ。

しかし、ビットコインはテクノロジーであり、テクノロジーはアップデートされる。このような性質は今、「タップルート(Taproot)」と呼ばれるアップデートに向けたビットコインネットワークの前進の中で目に見える形となっている。

タップルートは、いくつかの改善提案が束になってまとめられている。その中でも大切なものは、ビットコインの取引手数料市場で需要側の圧力を緩和する可能性のある、データ効率性の向上だ。

マルチシグトランザクションのアップデートも含まれているが、こちらはビットコインをダイレクトにカストディするカストディアンやその他の組織にとって重要なビットコインの機能である。この記事では、後者の方に焦点を当てる。

マルチシグの意義

マルチシグアドレスは、ビットコインをダイレクトにカストディする組織向けのガバナンスツールである。タップルートには、マルチシグをより使いやすくし、プライバシーを向上させるためにのアップデートが含まれている。

マルチシグのタップルートトランザクションは他のタップルートトランザクションから区別できなくなるのだ。この点は、マルチシグトランザクションを義務付けているが、それを使ってることをネットワークで触れて回りたくない組織にとって有意義だ。

ビットコインはその匿名性から、犯罪に利用できるとして批判の標的となってきた。しかし匿名性は、まっとうなオペレーターたちにもセキュリティをもたらす。インターネット上では、あなたが悪人でも誰にも分からない。

ビットコインネットワーク上では、あなたが金融機関でも誰にも分からない。ビットコインネットワークを使っている組織にとって、プライバシーがサイバー攻撃の可能性を軽減する。

ビットコインでのマルチシグの使用は2019年7月以来横ばい
出典:BitMEX Research、Coin Metrics

上のグラフはtxstats.comからのデータを見やすく調整したものであり、現在のマルチシグユーザーがネットワークにとってどれほど可視化されているかを示している。同時に、次のような疑問も提起する。マルチシグユーザーの数が横ばいの中、そのような機能を追加する必要が本当にあるのだろうか?

使われずに終わるのか?

マルチシグの欠点はおそらく、普及へのハードルであるが、それはタップルートが解決できるもので、使用の増大に道が開かれるかもしれない。そうすれば、カストディアンサービスが改善し、ダイレクト・カストディ形態の投資がより魅力的になる可能性もある。あるいは、誰も使わない評判ばかりの新機能となるかもしれない。

大半のテック投資家たちは、アップデートにつきものの技術的リスクを理解している。誰も使わない機能を開発してしまうという、普及に伴うリスクもある。イーサリアムとは異なり、ビットコインの開発者たちは後方互換性のあるアップデートを好む。

タップルートが実施された後でも、ユーザーはタップルート前の形態のトランザクションも使うことができる。このことは、タップルートのマルチシグプライバシー機能にとっては自滅的だ。匿名性は、多数の中でのみ機能するからだ。

マルチシグの改善によって、ビットコイン上でアプリケーションを開発することもより簡単になる。分散型金融(DeFi)、ノンファンジブル・トークン(NFT)、ステーブルコインが暗号資産強気市場を牽引する中、2021年において特に重要な点だ。当記事執筆時点で、イーサ(ETH)の年初来のリターンはビットコインの約10倍だ。

ますます多くのマイナーが賛成を表明する中、現時点では、ビットコインネットワークがタップルートを実施する可能性は高そうだ。ユーザーがその機能を活用するかどうかは、ビットコインの適応能力と、転じてはアップデート可能なテクノロジー投資としての有用性を明らかとするテストになるだろう。

一方で、アップデートや順応ができないと捉えられれば、どちらの能力も持たないゴールドとビットコインの類似性が高まるかもしれない。

ビットコイン関連のイベントの歴史の中では、タップルートは昨年の今頃に起きた半減期よりもずっと注目度が低い。しかし長期的には、より重要性が高いと分かってくるかもしれない。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Crypto Long & Short: Bitcoin’s Taproot Update Shows How It’s Not Like Gold

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