WBTC、供給量は1年で2倍以上に──安全性に懸念も

WBTC、供給量は1年で2倍以上に──安全性に懸念も

先週、DeFi(分散型金融)プロジェクト「BadgerDAO」がハッキングを受けたことで、最近あまり話題にのぼっていなかったメジャーな暗号資産(仮想通貨)が再び注目を集めた。ラップドビットコイン(Wapped bitcoin/WBTC)だ。

WBTCは、イーサリアム・ブロックチェーンと互換性を持つ「ERC-20」トークンの1つで、ビットコイン(BTC)と1対1で裏付けられている。トレーダーや投資家がイーサリアムベースのDeFiに高利回りのチャンスを求めているため、供給量は1年で2倍以上になっていた。

DeFiでのレンディング(貸し出し)利回りは、ビットコインのレンディング利回りよりも高いため、WBTCの需要は急増。だがWBTCに注力していたBadgerDAOがハッキングにあったことで、WBTCの安全性に懸念が生じた。

中国に拠点を置くブロックチェーン・セキュリティおよびデータ分析会社ペックシールド(PeckShield)は、ハッキングによって2100ビットコイン、約1億1800万ドル(約130億円)が失われたと12月2日にツイートしている。

DeFiの中で5番目の規模

Dune Analyticsユーザーの@Messari_Jackがまとめたデータによると、WBTCの供給量は12月1日時点で約25万3876、2020年末の11万2948から増加している。またDeFi Llamaによると、WBTCの預かり金額(Total Value Locked:TVL)は約125億3000万ドル(約1兆4000億円)。TVLで見ると、DeFiプロジェクトの中で5番目の規模となる。

「現状、WBTCを使った借り入れ/貸し出しはビットコインよりも簡単なことは明らか。ユーザーはコンパウンド(Compound)、エーブ(Aave)、メーカー(Maker)などのDeFiレンディングを使ってWBTCを借り、それを担保にUSDコイン(USDC)、ダイ(DAI)などの暗号資産を借りることができる。WBTCを直接使って、イールドファーミングを行うこともできる」とWBTC発行元の1つ、Grapefruit Tradingのジョー・キーファー(Joe Keefer)氏は述べた。

ブロックファイ(BlockFi)やセルシウス(Celsius)のような中央集権型融資サービスのビットコインの利回りは記事執筆時点で6.20%、DeFiでのイールドファーミングの利回りと比べると、はるかに低い。

トレーダーは、こうした融資サービスを利用するのではなく、例えばメーカーダオ(MakerDAO)でWBTCを担保に、メーカーが発行するステーブルコイン「ダイ(DAI」を手にすることができる。そしてDAIを使って融資を行うなど、さまざまな用途に活用し、利回りを稼ぐことができる。

「ビットコインの利回りは非常に低い」と、暗号資産カストディ会社ビットゴー(BitGo)のダン・バーク(Dan Burke)氏は述べる。WBTCなら「イーサリアムベースのDeFiプールやDEX(分散型取引所)を利用できる」。

利益とリスク

しかし、BadgerDAOのハッキングが示したように、大きな利益にはしばしば大きなリスクが伴う。

BadgerDAOは公式サイトの情報によると、WBTCや独自の利回り付きビットコイン(ibBTC)をはじめ、ビットコインに裏付けられた資産から利回りを得るために複数の自動化された戦略をユーザーに提供する。

暗号資産融資サービスのセルシウスはハッキングによって損失を被ったことを認めたが、正確な金額は公表していない。ブロックチェーンデータから、同社の損失額は約5100万ドル(約58億円)とも言われているが、CEOのアレックス・マシンスキー(Alex Mashinsky氏は損失は同社資産に限られ、ユーザーに損失はないと述べている。

「Badgerがハッキングを受け、セルシウスの資金の一部がそこにあったため、セルシウスは損失を被った。だがセルシウスのユーザーは1人も損失を受けていない」(マシンスキー氏)

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Wrapped Bitcoin’s Supply Has More Than Doubled, but BadgerDAO Hack Exposed Risks of Moving Bitcoin to Ethereum

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