2022年、音楽NFTが業界を破壊する【オピニオン】

2022年、音楽NFTが業界を破壊する【オピニオン】

私は16歳で音楽業界に入り、5年間ツアーに明け暮れ、貧乏暮らしだったが、持っているお金はすべてキャリアを築くことに注ぎ込んだ。ツアーの宿はボロボロ、寝るときはソファに倒れ込み、機材は修理のテープだらけ。ひどいライフスタイルだが、ミュージシャンなら皆、その苦労を理解している。

ストリーミングの収益では次のツアーのガソリン代はおろか、コンビニで食べ物も買えない。音楽でのキャリアは生きるための日々の戦いとなり、音楽を作り、演奏する余裕はほとんどなくなってしまった。

筆者のジョアン・ウエステンバーグ(Joan Westenberg)氏は、作家、エンジェル投資家、MODA DAOのメンバー。

音楽業界は不公平の極みと言える。我々は今、音楽を録音し、配信し、聴くことがかつてないほど簡単な時代を生きている。そして、クリエイティブな活動でキャリアを重ねることがこれほど困難な時代もない。実際、クリエイターがエコシステムの商業面でパワーや影響力を持つことはほぼない。

業界はエージェントや仲介者、企業利益のために最適化されたストリーミングサービスが支配している。利益が均等に分けられることもほぼない。食べていくためにアーティストは音楽業界のどこでキャリアを重ねればよいのか、二の足を踏んでしまう状況だ。

だがNFTや暗号資産を活用したツールによって、状況は変わるかもしれない。

スポティファイ(Spotify)を見てみよう。アクティブユーザーは約4億人、半数は有料ユーザーで、音楽ストリーミングサービスとしては圧倒的な人気を集めている。スポティファイ上には約800万人のアーティストが存在し、毎日、注目を集めようと戦っているが、テイラー・スウィフト、ビリー・アイリッシュ、カニエ・ウェストなど、有名なアーティストに圧倒されている。特に自分の作品の収益をすべて獲得できない場合、トップアーティスト出ない限り、厳しい環境だ。スポティファイ上の「著作権保有者」はストリーミング収益の最大70%を獲得するが、ほとんどの場合、著作権保有者は実際はアーティストではない。

これはクリエイターに報いる適切な方法とは言えない。

ネクストフロンティア

テクノロジーはまだ、ミュージシャンの苦悩を解決できず、流通面では寡占的な現実が続いている。独自性と希少性は奪われ、すべてが標準化され、アーティストにとって事態は間違いなく悪化している。

だが、ノンファンジブル・トークン(NFT)が登場した。

スポティファイにしろ、アップル・ミュージック(Apple Music)にしろ、NFTは必然的に音楽配信のすべてを変え、業界を根幹から変えることになる。配信へのコントロールを拡大し、業界の構造的欠点が解消されることで、クリエーターのパワーは大きくなる。

NFTは音楽に希少性を取り戻し、ミュージシャンが自分の作品の流通を完全にコントロールすることを可能にする。さらにアーティストがファンと深くつながり、活気あるコミュニティを築くさまざまな方法を提供する。

控えめに言っても、トランスフォーメーションだ。

多くの人にとっては、どのような意味があるのだろうか? 音楽配信モデルの再構築は、ミュージシャンやファンにとってルネッサンスの先駆けとなり、あらゆる場面で大きなチャンスを生み出すだろう。具体的には、レベニューシェア、1対1での直接的なやりとりなど、新しい収益モデルが生まれるかもしれない。

信じられないほど強力なツール

2022年は、音楽NFTにとって極めて重要な年になるだろう。現在、多くのプロトコルやプラットフォームが登場し、音楽NFTの準備を進めている。Bored ApesやCryptoPunksのような有名なNFTブランドはアルバムを制作中。クリエイターがけん引するテクノロジー主導の革命が起きている。

同時に、今話題のDAO(自律分散型組織)についても検討する必要がある。タレントエージェントやレコード会社のような古い組織に飽きたら、DAOは新時代の画期的なオルタナティブ(新たな選択肢)になるかもしれない。

本質的にDAOは銀行口座を共有し、ともに意思決定を行う手順を備えた社会的集団に過ぎない。

ミュージシャンにとって、DAOはブランドメーカー、パトロン、マネージャーとして機能する可能性がある。業界の大物もWeb 3.0上で創作活動を行うアーティストをサポートするために参加するかもしれない。ファンはアーティストや他のファンとの人間的なつながりを深めることができる。

DAOは、アーティスト、リスナー、その他のステークホルダーの間の第三者による仲介を排除する。音楽業界の不均衡はDAOが解決するかもしれない。DAOはアーティストに自分の作品の流通について直接的な発言権をもたらし、ファンに自分たちが応援するミュージシャンとの直接的なつながりを提供し、マネジメント会社やレコード会社には、顧客と交流し、音楽そのものにこれまで以上に関わる機会を提供する。

今、私はクリエイターとして、何かが変わったと感じている。勢力図は変わった。個人的な話だが、私が音楽NFTで得た収益は、すでにレコード会社から出した直近のEP盤の収益を超えている。

もし私が今日、初めて音楽でのキャリアをスタートさせたとしたら、どうなっていただろう。アーティストは10年前には夢にも思わなかったような、信じられないほど強力なツールを手に入れた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Music NFTs Are Set for an Explosive 2022

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