ビットコインとイーサリアムは「弱気なアジア取引時間」に下落傾向

ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)はアジアの取引時間に下落し、アメリカが夜を迎えている時に下落するというこの1年あまりの傾向が続いている。

当記事執筆時点、ビットコインは4万6600ドル付近、24時間で0.5%下落。イーサリアムは3850ドル付近、2%近く下落した。

オプショントレーダーのフレデリック・コリンズ(Fredrick Collins)氏のデータを見ると、ビットコインとイーサリアムは2021年、アジアの取引時間に一貫して下落圧力に直面していることが判明した。ビットコインが60%、イーサリアムが420%という2021年の上昇のほとんどは、アメリカの取引時間、具体的には米東部時間午前8時〜午後6時にもたらされた。

ビットコインとイーサリアムはこの数週間で大きく下落し、米連邦準備制度理事会(FRB)などの主要中央銀行がインフレ抑制のために金融政策を引き締めるなか、暗号資産市場の広範な下落を招いた。

ビットコインは11月10日に6万9000ドル付近の史上最高値を記録して以来、30%を超えて下落し、アジアの取引時間(北京時間午前8時から午後6時)には売り手が市場を支配している。

中国人民銀行(PBOC)が事実上の基準金利である1年物の最優遇貸出金利(ローンプライムレート)を約2年ぶりに3.85%から3.8%に引き下げ、不動産市場の低迷とオミクロン株への懸念による景気後退に対抗する措置を取ったにもかかわらず、この傾向は20日も続いた。

金利引き下げは、経済に流動性を注入することにつながる。そのため、ビットコインやゴールドなどインフレヘッジと考えられている資産は一般的に利下げにポジティブに反応する。

しかし、アジアの株式市場は下落している。一方で、日本円のようなアンチリスク通貨は安全資産として買いを集めている。

市場の動きは、中国の利下げがFRBや他の中央銀行による引き締めに対して、おそらく小さすぎることを示している。先週、FRBは2022年に3回の利上げを見込んでいることを明らかにし、イングランド銀行は新型コロナウイルス感染拡大以降、主要中央銀行では初めての利上げを行った。

新たな変異株「オミクロン株」によるロックダウンの懸念が高まっていることも、市場心理を改善しようとする中国当局の取り組みに影を落としているようだ。ヨーロッパの各国はオミクロン株感染を食い止めるために一段と厳しい措置を講じ、中国の厳しい感染対策は世界のサプライチェーンを混乱させる恐れがある。

ロックダウンやサプライチェーンの混乱はインフレを招き、ビットコインにはポジティブな展開になると考えられている。ロックダウンは経済成長にも重い制約となる。

だが世界的にインフレ圧力が高まるなか、各国の中央銀行には2020年前半のように、経済成長を優先して大規模な緩和政策を取る余地はほとんどないようだ。当時、アメリカのインフレ率はFRBが目標としていた2%を大きく下回っていた。11月時点でアメリカのインフレ率は6.8%と40年ぶりの高水準にある。

FRBのパウエル委員長は最近、インフレを「一時的」としてきた結界を撤回し、政策の焦点を雇用と経済成長からインフレ抑制に移すことを明らかにした。国際通貨基金(IMF)もFRBに対して、インフレ抑制に向けた金融引き締めの加速を促している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Fredrick Collins
|原文:Bitcoin, Ether Dip in ‘Bearish Asia Session’ as China Rate Cut Fails to Inspire Risk Buying