ソフトバンク傘下のフォートレス、マウントゴックス債権者の請求権を1BTCにつき900ドルで買取

民事再生手続き中の仮想通貨取引所マウントゴックス(Mt. Gox)からビットコインの返還を待ち望む債権者たちは、米投資会社フォートレス・インベストメント・グループ(Fortress Investment Group)にビットコインの支払い請求権を売ることで、ある程度の利益を得ることができそうだ。

債権者に宛てた手紙の中で、フォートレス・インベストメントのマイケル・フーリガン(Michael Hourigan)マネージングディレクターは、同社の運営するビットコイン投資母体用にビットコインの請求権を購入していると述べた。フォートレス・インベストメントは2017年にソフトバンクグループに買収された、ニューヨークに拠点を置くプライベート・エクイティ企業。

マウントゴックスは2014年、同取引所のサーバーから約85万ビットコインが消失し、崩壊した。同取引所は当時破産に至ったが、2018年に民事再生の手続きに移行した。

同取引所の債権者たちは、民事再生手続に移行したことで、破産時の現金同価額ではなく、失われたビットコインを取り戻せると期待した。本件は現在、東京地方裁判所で手続きが進められている。

請求権の販売

CoinDeskはフォートレス・インベストメントからの手紙のコピーを複数入手し、その中の1通の全文を下記で公開する。

手紙は「債権者様へ」と始まり、次のように続いている。「私はマウントゴックスの債権者の請求権を購入している投資母体を運営しております」

その後は次のように続く。

「各請求権を個別に検討しますが、通常1ビットコイン(BTC)の請求権につき900ドル(約9万8000円)、つまり破産時の価値(1BTCにつき約451ドル)の200%のオファーをすることができます。ビットコイン、もしくはご希望の法定通貨でお支払いします。弊社からの支払いは請求権の移行が確認されてから10営業日以内に行われます」

900ドルという価格は債権者にもフォートレス・インベストメント・グループの投資家にとっても公平なものだ、とフーリガン氏は主張する。(CoinDeskのビットコイン価格インデックスによれば、2019年7月8日午後(現地時間)の市場価格11870.72ドル(約130万円)の約7.5%に当たる)

匿名を希望するある債権者はCoinDeskの取材に対し、手紙には個別の請求権額と手紙番号が記されていた、と述べた。

マウントゴックスの債権者の権利を主張する活動をかつて行なっていたアンディー・パグ(Andy Pag)氏は2019年4月、自身の権利をニューヨークを拠点にするある投資会社に1BTCにつき600米ドル(約6万5000円)で売却したと語った。パグ氏は当時この投資会社の名前を明らかにせず、7月8日の当記事の配信時点でもコメントのリクエストに応じていない。

長期的な関心

フォートレス・インベストメント・グループは長年にわたって仮想通貨業界で活発に活動をしており、マウントゴックスの破産前の2013年というかなり以前からビットコイン投資ファンドをローンチしようとしていると報じられていた。

公式の申告によれば、同社は2018年に2000万ドル(約22億円)相当のビットコインを購入した。

フォートレス・インベストメントのマイケル・ノヴォグラッツ(Michael Novogratz)元最高投資責任者(CIO)も仮想通貨業界での活動を続けており、その中でも「仮想通貨商業銀行」のギャラクシーデジタル(Galaxy Ditital)は最も有名である。

CoinDeskはフーリガン氏およびフォートレス・インベストメントの広報担当者に取材を試みたが、コメントは得られなかった。

翻訳:山口晶子
編集:佐藤茂
写真:Shutterstock
原文: Investor Fortress Will Buy Mt Gox Creditor Claims for $900 Per Bitcoin