カナダ、仮想通貨取引所に厳しい規制──1万ドル以上の取引の申告義務付け

カナダは自国のアンチマネーロンダリング規制を更新し、同国での仮想通貨取引所運営に影響を与える変更を行った。

カナダ政府は2019年7月10日(現地時間)、カナダ官報で犯罪収益(マネーロンダリング)およびテロリスト資金提供法(Terrorist Financing Act)の改正を発表した

6月下旬にまとめられた金融規制の変更は、従来の金融において、ギャップがあると感じられるものを対象としただけでなく、「仮想通貨を取り扱う」プラットフォームに以前よりも高いハードルを課したことが注目に値する。対象になる活動には、「仮想通貨取引所サービスや価値を移転するサービス」などが含まれる、と政府は説明した。

改正法によると、カナダ、および海外の仮想通貨プラットフォームはマネーサービス事業(MSB)と分類され、「完全なコンプラインスプログラムの履行と、カナダ金融取引報告分析センター(FINTRAC)への登録を含めた、すべての義務を果たす」必要がある。

さらに、セクターを問わず、預金や支払いなどで、1万カナダドル(約83万円)以上を仮想通貨で受け取る、全ての「報告主体」はトランザクションの詳細を記録し、送金者を特定し、トランザクションを報告する義務がある。

カナダ政府は次のように述べた。

「これらの法改正は、既存の法的枠組みとの整合性を保ちながらも過度にイノベーションを妨げないような方法で、仮想通貨がマネーロンダリングやテロリストの活動への資金提供といった面で抱える脆弱性を緩和する役割を果たします。そのため改正法は、仮想通貨自体ではなく、仮想通貨を取り扱う事業に携わる個人や企業を対象としています」

2018年、カナダの仮想通貨取引所クアドリガCX(QuadrigaCX)の創業者兼CEOのジェラルド・コットン(Gerald Cotten)氏が、同社の仮想通貨ウォレットのアクセスを引き継ぐことなく亡くなったとき、カナダには衝撃が走り、このことは世界中で報じられた。

クアドリガCXは、管財人に指名された会計大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)の勧告のもと、アクセスできない1億9000万ドル(約205億円)の債務を顧客に負っている状態で、 2019年4月に破産を申請した。

カナダの金融規制当局は3月、仮想通貨取引所に対する規則を整備することを検討中だと述べたが、当時、仮想通貨取引所に対する公式承認や認可の構想は存在していなかった。

翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:Canadian parliament image via Shutterstock
原文:Canada’s Crypto Exchanges Must Now Register as MSBs, Report Transactions Over $10K