メイカーダオ創設者、テラの破綻について語る

メイカーダオ創設者、テラの破綻について語る

分散型ステーブルコインのある創業者は、テラの破綻は、担保されていないアルゴリズム型ステーブルコインに内在するリスクに気づいていなかった人たちに対する警鐘だと考えている。

メイカーダオを立ち上げたデンマーク人起業家のルネ・クリステンセン(Rune Christensen)氏は、暗号資産(仮想通貨)業界はステーブルコインに対して、例えば担保要件など、厳格な規格を採用するべきだと考えている。1週間にも満たない短期間で、400億ドルもの価値を失ったUSTの崩壊のような金融危機の再発を防ぐためだ。

クリステンセン氏にとっては、その方が都合が良いのかもしれない。彼が立ち上げたステーブルコインプラットフォームは、2014年に運用開始。現在では自律分散型組織(DAO)が管理しており、ユーザーが米ドルにペッグされたネイティブトークンのダイ(DAI)を作りたい場合には、手持ちの資産を担保として差し出す必要がある。

予期できた結末

「自然な成り行きとしては、アルゴリズム型ステーブルコインが担保される、というところを目指すべきだろう。それがユーザーを守る唯一の道だからだ」と、クリステンセン氏は主張した。

メイカーダオは、誰でも手持ちの暗号資産を担保にすることでドル連動型ステーブルコインを発行できる初のイーサリアム基盤のツールだ。流通しているダイはすべて、およそ2倍の価値を持つ暗号資産準備金によって裏付けられている。

対照的にテラは、異なるモデルを採用していた。準備金として資産を保有する代わりに、アルゴリズムと、LUNAと呼ばれる変動型暗号資産を使って、USTのペッグを保とうとしたのだ。他のアルゴリズム型ステーブルコインの多くと同じように、USTも壊滅的な最後を迎えた。

暗号資産コミュニティの人たちにとっては、テラが破綻することは目に見えていたと、クリステンセン氏は語る。

「このモデルがうまくいかないことは完全に明白で、みんなが知っていることだった」と、クリステンセン氏は振り返る。

それでも、テラの創業者ドー・クォン(Do Kwon)氏は、メイカーダオやダイを攻撃することをやめなかった。「私の手でDAIを滅亡させる」とまで言ったのだ。その宣言からおよそひと月後、その成功が絶頂期を迎えた頃に、テラは宿命の「死のスパイラル」に突入した。

大ブームと大暴落

クリステンセン氏によると、テラはポンジ・スキームのような仕組みを基盤にしていた。価格の高騰、大規模な投機、そしてクォン氏の大言壮語から利益を上げたプロジェクトであり、大ブームにはやがて、大暴落の時がやって来るのだ。

「テラの被害にあったコミュニティの人たちは、コミュニティの絆のようなものを築き上げ、システムの経済的意味を超えた無形の価値を作り上げたのだ」と、クリステンセン氏は指摘する。

テラの破綻は予期していたが、実際に起こった時には大いにショックを受けたと、クリステンセン氏は語る。

「『だから言ったじゃないか』と言うような気分ではなかった。悲劇だったのだ」と、クリステンセン氏は振り返った。

落ち度があったのは明らかに、テラとその運営者達、とりわけクォン氏だ。テラの首脳陣はリスクを隠し、保有するUSTに対して、持続不可能な20%の利回りを約束するアンカー・プロトコルのような、投資家を惹きつけるためのプロダクトを開発した。

「高利回りを手にできるサービスを使い、その高利回りがどこからやって来るのかは隠していたのだ」と、クリステンセン氏は指摘した。

テラの破綻による影響は、長期的なものとなるかもしれない。そしてユーザーは、ボラティリティの高い資産が裏付けとなる、ダイのようなステーブルコインへの投資にも懸念を持つようになるかもしれない。

DAIは超過担保されており、イーサ(ETH)、USDコイン(USDC)、その他の暗号資産で直接裏付けられている。

「誰かを信用する必要はない。すべての担保があることを、自分の目で確認できるのだ」とクリステンセン氏は、ブロックチェーンの利点を強調した。

ステーブルコインの今後

USDCのように企業が管理するその他のステーブルコインは、定期的な情報開示を通じて透明性を提供しており、よりシンプルな選択肢のように思えるかもしれない。その透明性について批判が寄せられることもあるテザーも、「おそらく安定している」と、クリステンセン氏は指摘する。

担保を追加したり、その他の安全装置を加えるアプローチを試すために、テラをフォークしようと提案があがってきている事実は、テラコミュニティのレジリエンスや絆について、より大きなメッセージを伝えているのかもしれない。しかし、そのような感情だけではいまさらどうにもならないところまで来ているのかもしれない。

「政治的な分断のために、うまくいかないリスクがある」と、クリステンセン氏は指摘し、テラの残りの準備金を小口保有者達に再分配しようという計画も、優柔不断さとずさんさだらけだと続けた。

「コミュニティが何をするにしても、主な目標はUST保有者への返済であるべきだ」とクリステンセン氏は主張し、いわゆる狂信的ファンが「ストックホルム症候群的なもの」になるかもしれないが、それ自体が「分散型コミュニティに内在するレジリエンスとその価値」を示すものだと語った。

アルゴリズム型ステーブルコインが終わりだと言っているのではない。しかし、伝統的金融資産のように扱った方がより安全なのかもしれない。アルゴリズム型ステーブルコインの規制に関してクリステンセン氏は、発行元が銀行のような担保要件を満たさなければならない日がいつの日かやって来てもおかしくない、と考えている。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:メイカーダオの創設者ルネ・クリステンセン氏(CoinDesk)
|原文:Dai Creator Rune Christensen on Terra’s Collapse

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