暗号資産の下落、システムの複雑さが原因で継続:ドイツ銀行

暗号資産市場の大幅な下落は、システムの複雑さが原因となって継続する可能性があるとドイツ銀行は29日、レポートで述べた。

価格を安定させることは「株式システムにあるような共通の評価モデル」がないため困難という。さらにレポートによると、暗号資産市場はきわめて断片化している。

加えて、投機的取引では、複数の暗号資産を同時に使用する可能性が高く、波及効果が大きくなると同行は述べた。こうした市場に存在し得る流動性はどんなものでも、すぐに消えてなくなる可能性があり、価格に対する信頼が損なわれ、悪影響が広がる可能性は高くなると付け加えた。

マクロリスクも懸念される。

ビットコイン(BTC)などの暗号資産は投機的でリスクの高い資産であるため、「中央銀行による引き締めに不釣り合いに影響を受ける」。

米連邦準備理事会(FRB)は引き締めサイクルを終えようとしており、欧州中央銀行(ECB)は「まだ終えていない」、日本銀行(BOJ)は「安全資産市場にさえ混乱をもたらす市場圧力」に直面しているという。

こうしたマクロ要因は、アメリカのリセッション(景気後退)の可能性と投資家の悲観主義によって増幅されている。いずれも投機的資産にとっては有害であり、何らかのマクロショックが暗号資産の最近の安値にさらに影響を与え、「DeFi(分散型金融)エコシステム内の伝染リスクを再燃させる」可能性があるとレポートは付け加えた。

同行のエコノミストは、2023年にアメリカはリセッションに入り、9月にインフレ率は9.1%に達すると予測。現状の「グローバルなスタグフレーションの風」をエネルギー業界が好調だった1970年代と比較した。「ビットコインがデジタルの石油にならない限り」、そのパフォーマンスは高インフレ期には控えめになるかもしれないと同行は述べた。

ドイツ銀行は、ビットコインなどの暗号資産はこの数カ月、ナスダックやS&P500のの相関関係が高まっていると指摘。S&P500との過去の相関関係から、S&P500の基準価格を4,750とすると、ビットコインは年内に2万8000ドルに達する可能性があるとし、現在の水準からは30%以上の上昇となるが、昨年11月の史上最高値の半分以下と述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Deutsche Bank: Crypto Free Fall Could Continue Because of the System’s Complexity