セルシウス、マイニング頼みの再建案──個人投資家への返済は後回しか?

セルシウス、マイニング頼みの再建案──個人投資家への返済は後回しか?

暗号資産(仮想通貨)レンディングのセルシウス(Celsius)は50万人の債権者に対して約50億ドルの負債を抱えていると、7月18日に行われた1回目の破産審問で同社の弁護士は述べた。

同社の財務危機は、同社が「極端な市環状況」を理由に顧客の資金引き出しを一時停止すると発表した6月12日に報じられた。7月13日遅く、同社は米連邦破産法11条の適用を申請している。

裁判所に提出された書類は、セルシウスの債権者──そのほとんどは一般的な個人投資家──を不安にさせるものだった。同社はバランスシートに(少なくとも)12億ドルの巨大な穴を開けており、セルシウスの口座に暗号資産を預けていた個人投資家への返済はおそらく最後になる。

連邦破産法11条:チャプターイレブン(Chapter11)ともいい、再建型の企業倒産処理を規定した米連邦破産法の第11条のこと。日本の民事再生法に類似し、旧経営陣が引き続き経営しながら負債の削減など企業再建を行うことができる。(出典:野村證券 証券用語解説集)

債務超過の詳細

同社の法律事務所Kirkland & Ellisが提出した書類を見ると、セルシウスは大きな債務超過に陥っている。

同社の保有資産残高は、3月末時点は約221億1000万ドル(約3兆460億円)だったが、7月14日時点では約43億1000万円(約5940億円)となり、178億ドル(約2兆4520億円)減少している。そのうち暗号資産は、約145億6000万ドル(約4兆60億円)から、わずか17億5000万ドル(約2410億円)まで減少。一方、顧客に対して47億ドル(約6470億円)の負債を抱えている。現在保有する暗号資産の約3倍だ。

その他、銀行口座に現金1億7000万ドル、マイニング機器7億2000万ドル、ローン残高6億2000万ドル、その他の資産4億5000万ドルを保有している。文書には、保有資産としてネイティブ暗号資産セルシウス(CEL)が6億ドルも計上されている。この額はCELの時価総額よりもはるかに高い金額だ。なおCELは米証券取引委員会(SEC)による精査を受けている。

セルシウスは資産の減少は、ほとんどは暗号資産価格の下落によるもので、約123億ドルが減少したと述べた。また、ユーザーによる資金引き出しは、約19億ドルにのぼる。

出典:Kirkland and Ellis

マイニング頼みの再建プラン

18日の破産審問、そしてアレックス・マシンスキー(Alex Mashinsky)CEOの61ページに及ぶ供述宣誓書をはじめとする多くの提出資料からは、セルシウスの再建計画の大部分は、子会社セルシウス・マイニングの将来の利益予想に大きく依存していることが明らかになった。

だが、セルシウス・マイニングも負債を抱え、親会社と同様にチャプター11を申請している。セルシウスの弁護士は、テキサス州のマイニング施設を完成させるために500万ドル以上の支出と、「現在税関に保管されている」マイニング装置の関税の支払いの許可を裁判所に求めた。

裁判所は要求を暫定的に認めたが、破産事件の処理を監督する司法省の部門である連邦管財官(U.S. Trustee)が最終決定を行うことになる。

セルシウスのマイニング事業の実現可能性については、米国管財官から懸念が表明された。

「稼働できるとは思えないマイニング企業があるが、債務者に相当額の損害を与えている。現時点で建設が債務者にとってベストな方法なのか、そうでないのかはよくわからない。なぜ清算して、前に進めることを考えないのか?」

セルシウスの弁護士は、すでに4万3000以上のマイニング装置を運営しており、「2023年第2四半期」には、11万2000台に達する計画だと反論。セルシウス・マイニングは1日あたり約14.2ビットコイン(BTC)をマイニングしており、2022年には1万100ビットコインをマイニングする見込みと述べた。

「すべてがうまくいけば、2023年には1日約1万5000ビットコインをマイニングできる状態になると期待している」と弁護士は述べた(現在、1日にマイニングできるのは合計約900ビットコインなので、弁護士の発言はおそらく1年での数字を意味するものと思われる)。

個人投資家の救済されない?

仮に今年中に1万100ビットコインをマイニングするという見込みが正確だったとしても(検証することは難しい)、現在の市場価格では約2億2500万ドルにしかならず、セルシウスが必要とする支払い能力のほんの一部にしかならない。

セルシウスが55億ドルの負債(うち47億ドルは顧客の保有資産)の返済を開始したとき、顧客への返済はほぼ間違いなく最後になるだろう。そしてそのときには、もうお金は残っていないかもしれない。

「セルシウスは顧客と機関投資家が衝突する舞台を用意した」とニューヨークの法律事務所Ropes & Grayの事業再生担当アソシエイト、ダニエル・グウェン(Daniel Gwen)氏はコメントした。

「特にセルシウスは申立書で、顧客が暗号資産の所有権をセルシウスに譲渡し、顧客は無担保債権者になっていると指摘している。これは、伝統的な銀行と同様の金融機関に資産を預けていると思っていた顧客の期待を裏切る可能性がある」

セルシウスの弁護士は18日、同社には約50万人の預金者がおり、そのうち30万人は口座に100ドル以上の暗号資産を保有していると述べた。

また弁護士は、セルシウスの従業員と債権を持つ企業関係者の個人的な安全に対する恐怖を理由に、関係書類から名前や個人を特定できるような情報を削除するよう求めた。

「今回のケースは、多くの報道とソーシャルメディアでのコメントを生み出した。ある従業員は殺害予告やヘイトメールを受け取っている。法人の債権者からも、同様の連絡を受けている」

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:セルシウスのアレックス・マシンスキーCEO(Southern District of New York Bankruptcy Court)
|原文:Celsius Lays Out Mining-Focused Reorganization Plan at First Bankruptcy Hearing

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