ダークネットに対抗するには身元確認と捜査機関の訓練が重要──EUが委託した調査報告

欧州委員会が資金提供した調査報告書は、規制当局がダークネットマーケットプレイスにおける違法薬物購入の増加に対抗するためには、暗号資産(仮想通貨)取引所利用者の身元確認を強化することが重要だとしている。

この報告書は欧州連合(EU)の機関である欧州薬物・薬物依存監視センターが委託し、EUの議員たちが暗号資産を使った取引に対するマネーロンダリング防止のチェックを強化するよう求めている中で発表されたもので、全面的に禁止するよりも捜査機関の訓練を充実させた方がより効果的だと指摘している。

「世界各国が金融活動作業部会の勧告を実施し、取引所、ブローカー、ATMの利用者が不正な利益を現金化する際に特定できるようにすることが重要だ」とも述べている。

ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)のリサーチディレクター、キム・グラウアー(Kim Grauer)氏とエリック・ジャーディン(Eric Jardine)氏が執筆したこのレポートは、ダークネットマーケットプレイスの利用が捜査機関の努力にもかかわらず上昇しているとしている。チェイナリシスは、規制当局にブロックチェーン分析ソリューションを提供するブロックチェーン研究プラットフォームであり、アメリカ政府機関と数百万ドル規模の契約を結んでいる。

暗号資産の使用を完全に禁止しても、ダークネットの活動を抑制する効果はほとんどなく、2022年のHydraのような警察主導の閉鎖は、すぐに代替手段が出現するため、短期間しか効果がないと報告書は述べている。しかし、捜査当局も対応能力を高めることができるという。

法執行機関は「採用されているテクノロジーや、この種の捜査を行うために必要な新しい捜査テクノロジーに関するトレーニングを必要としている」と報告書は述べており、暗号化されたプラットフォームの使用や暗号資産の追跡・押収方法などのスキルを挙げている。

EUの議員たちは来週、暗号資産分野の画期的な新しいライセンス規則について投票を行う予定だ。この規則には、資金を送金するユーザーの身元確認も含まれている。欧州議会はまた、マネーロンダリング対策の一環として、匿名での暗号取引に上限を設けるように求めている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:EU-Funded Report Calls for Crypto ID Checks, Police Training to Combat Darknet Markets