ビットコイン長期保有者、11カ月ぶりに利益──強気相場への転換点か

データによると、ビットコイン(BTC)の長期保有者は、ほぼ1年ぶりに利益を上げている。歴史的に見ても、長期保有者の収益性の回復は、市場の大きな上昇を予感させるものだ。

ブロックチェーン分析企業グラスノード(Glassnode)によると、ビットコインの長期保有者の利益率を示す「LTH-SOPR」の7日間平均は、2022年5月以来初めて1を上回った。

SOPR(Spent Output Profit Ratio)は、UTXO(Unspent Transaction Output)と当該ウォレットがUTXOをオンチェーンで使用する際の価値との米ドル建ての比率だ。UTXOは新しいトランザクションでインプットとして利用されていないトランザクションアウトプットで、ポケットに残っている小銭のようなものだと考えることができる。

ウォレットXがウォレットYに1ビットコインを送った場合、前者は後者にコインを支出または売却しているものとみなされる。XがYにコインを移動させた時の価値が取得時よりも高かった場合、Xは利益を上げたと言える。SOPRが1以上であれば、移動したコインは平均して利益を得る価値で売却されていることを意味する。

LTH-SOPRは、オンチェーンで移動したコインのうち、155日以上保有されていたものに着目している。

グラスノードのアナリスト、ジェームス・チェック(James Check)氏は週一度のノートの最新版で次のように述べている。「長期保有者のSOPRは、マクロな市場変化を反映する傾向がある。長期の実現損失(LTH-SOPR<1)の後、長期保有者は最終的に収益性の高い支出体制に移行しており、過去のサイクル移行点と似た構造になっている」。

LTH-SOPRは2022年5月以来、初めて1を超えている。(James Check/Glassnode)

ビットコインが弱気相場から回復している中、この比率が1以上になったのは最近のことだ。記事執筆時点の2万9500ドルで言えば、ビットコインは昨年11月に記録した1万5460ドルから90%上昇している。

2020年5月、2019年5月、2015年11月と、過去の1を超えるクロスオーバーは、最終的に数年にわたる強気相場へと転換する場面と一致している。

チャートでは、極端に低い1未満の比率は、歴史的に投資家の失望を示す時期であり、市場の底値と一致する。一方、10を超える数値は、市場の頂点を示すものだ。

SOPRが1を上回ると上昇は鈍る可能性も

LTH-SOPRが1を超えることは、今後の市場サイクルがポジティブになることを暗示しているかもしれないが、短期的にはビットコインの上昇を鈍らせる可能性がある。

「現時点での長期保有者は、2021-22年に取得した保有者が多く、その多くが水面下にとどまっており、市場回復の過程で抵抗となる可能性が高い」とチェック氏は指摘している。

韓国の暗号資産分析企業CryptoQuantも同様の意見を述べ、黒字化によって市場に売り圧力が注入されるかもしれないとしている。

「オンチェーンデータの観点から、ビットコインの価格は、クジラ(大口投資家)の支出の増加や長期保有者がほぼ1年ぶりの高マージンで利益を得ることによって下方向に圧力を受ける可能性がある」とCryptoQuantは米CoinDeskに提供した報告書で述べている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:James Check/Glassnode
|原文:Long-Term Bitcoin Holders Are Profitable for First Time in 11 Months, Blockchain Data Shows