ビットコインやイーサリアムの初期のクジラ、突然活動を再開

数年間動きがなかった大量のビットコイン(BTC)を保有するウォレットが突然動きを取り戻した。その理由について、クリプトツイッターで議論が巻き起こっている。

暗号資産業界で使われる口語的な用語である「クジラ」は、あるトークンを大量に保有する人たちのことを指す。その保有量の大きさから、クジラはトークンの価格やセンチメントに影響を与えることができる。

2012年に最後に活動したそのようなウォレットの1つが、この週末に400BTC(約1100万ドル、約14億7314万円)以上を動かしたことが、データで示されている。このビットコインクジラは、ある1つのウォレットに360BTCを、別のウォレットに40BTCを移動させた。このクジラは2012年に約900BTCを購入し、それ以来その資産を持ち続け、初期投資に対して約40000%の利益を得ている。

この動きは、過去数週間に他のいくつかのクジラが大量のビットコインとイーサリアム(ETH)を移動させたことを受けたものだ。

別のクジラのウォレットは10年以上活動していなかったが、4月初めに279BTCを移動させた。このクジラは、価格が12ドルから195ドルの間で変動していた2012年から2013年に1128BTCを受け取っており、記事執筆時点での保有資産は3100万ドル(約41億5160万円)と評価されている。

イーサリアムの所有者もトークンを移動させている。先週、イーサリアムのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)の参加者が、8年間活動していなかったウォレットから1ETHを別のウォレットに移した。このウォレットには、ICOで1枚31セントで購入した2356エーテル(400万ドル、約5億3600万円以上の価値がある)が保管されている。

これらのクジラの身元は不明で、いずれもオンチェーンメッセージを使用して移動の理由を伝えることはしていない。

この沈黙は、ダークウェブサイトのSilk Roadの開発者が彼らのウォレットにアクセスしたとか、知る人ぞ知るインサイダーが悪いニュースより先にトークンを移動させたとか、クリプトツイッター上のさまざまな推測に拍車をかけている。

また、ウォレットのパスワードがクラックされたと推測する人もいる。

CEHVのパートナーであるアダム・コクラン(Adam Cochrane)氏はツイッターで、「10年以上前のウォレットが複数の資産で突然生き返ったとは。これらのウォレットがマウントゴックス(Mt Gox)のコールドストレージと関係があるのでなければ、古いウォレットジェネレーターがクラックされたに違いない」と述べた。

古いウォレットは繰り返しハッカーやオンライン窃盗団の標的になってきたため、コクラン氏の推論はまったくの的外れではないかもしれない。

今月初め、イーサリアム・ウォレット管理ツール「MyCrypto」の創業者テイラー・モナハン(Taylor Monahan)氏は、クジラやイーサリアムの初期保有者に影響を与えると思われる大規模な「ウォレット流出操作」を指摘した。

モナハン氏は、この巧妙な攻撃によって、このようなウォレットから5000ETH以上が流出したと推定している。「私の推測では、誰かが1年以上前のデータのキャッシュを大量に手に入れ、この宝の山からキーを解析しながら、計画的にキーを抜き取っているのだと思う」と彼女は当時ツイートしている。

そうしたセキュリティ上の懸念が、最近のクジラウォレットでのビットコインの動きを促したのかもしれない。しかし、それも今のところは推測に過ぎない。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Whales Spook Crypto Twitter With Sudden Wallet Movements