「Consensus by CoinDesk 2023」は29日に最終日を迎えた。多くの講演者やセッションから生まれた魅力的な議論を聞けたエキサイティングな時間となった。

米CoinDesk編集部のメンバーは「Consensus 2023」から得たことを振り返り、暗号資産業界の今後の方向性を左右する重要な問題について、各自の得意分野から語った。

ニック・ベイカー(Nick Baker)副編集長

今年初めて参加した私は、Consensusがいかに大規模で、印象的だったかを語ることができる。

まず、暗号資産に対する人々の楽観主義のレベルは非常に高い。規制の見通しがきわめて悪いことを考えると驚くべきことだ。これは自己選択バイアスが働いている部分があるだろう。このイベントにそれなりの参加費を払っているような人たちは、暗号資産に対して楽観的だろう。だが、実際の大きな問題と楽観的な考え方が並存していることは印象的だった。

2つ目は、私がよく知っているのは伝統的金融(TradFi)の人たちだが、TradFiもまた、暗号資産の将来や、TradFiを暗号資産や暗号資産関連のインフラに移行させることを非常に高く評価している。もちろん今は、何年も前から取り組んでいるものの、成果はほとんどない。だがTradFiは躊躇していない。

ベン・シラー(Ben Schiller)Consensus Magazine責任者

ペプシコ(PepsiCo)のWeb3コミュニケーション責任者ケイト・ブレイディ(Kate Brady)氏が壇上で語った言葉に、私は大きな衝撃を受けた。ご存知のように、ペプシコはアメリカの象徴とも言えるブランド。暗号資産業界の一部では決してないが、Web3への参入を図っている。同氏はステージ上で「規制が明確でないために、自分の仕事も、ペプシコも支障をきたしている」と語った。これは明らかに業界で今、最も必要とされていることであり、非常に興味深かった。ワシントンD.C.から、さまざまなガイドラインが発表されている。しかし、そうした議論や問題は、暗号資産の比較的小さな世界の人たちにしか影響を与えないと考えている。

しかし、規制の問題は、実際はすべてのアメリカ企業、アメリカでWeb3開発を望むすべての人に影響を与えることを痛感させられた。しかも、対象はかなり広い範囲の人々に及ぶ。よって、もしもペプシコのような企業の誰かが暗号資産政策について懸念しているのであれば、業界として、あるいは国として、もっと注目すべきことだ。そうした企業が言うのであれば、皆にとってきわめて重要なことだ。

加えて、ワシントンD.C.での政策決定の欠如と予測可能な規制執行の欠如は、私たちが考える以上にアメリカにとって広範な脅威であることは明らか。大きな視点では、アメリカの競争力に対する懸念であり、現時点では本当に許しがたい。ヨーロッパやアジアの多くの地域では今、比較的明確な規制フレームワークが確立されている。だが、ブロックチェーン業界の主要拠点であるはずのアメリカは違う。ますます多くの人や組織に影響が及んでいる。

ニキレシュ・デ(Nikhilesh De)、グローバル政策・規制担当マネージングエディター

規制の議論に関して、私にとって本当に興味深いことは、こうした議論が議会や他の国で進行中のことと並行して起こっていること。この1週間は非常に忙しい1週間だった。

ここ数日で議会は、暗号資産が犯罪やテロ活動に利用される可能性を評価する法案を提出した。また、Consensus開催中に暗号資産に関する公聴会が複数開催されていた。

今朝、連邦準備制度理事会(FRB)、連邦預金保険公社(FDIC)、会計検査院(GAO)、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)が、シグネチャー銀行とシリコンバレー銀行の破綻の根本的原因についてのレポートを発表した。

私たちは、Consensusを開催しながらも、規制の展開を見守り、リアルタイムで展開されている政策課題について議論している。法律やルールメイキングについて解決策が見られるかどうかはまだ議論の余地がある。だが私たちは前進しており、成果がないわけではない。

アミトジ・シン(Amitoj Singh)規制担当

私の収穫は、アメリカが議会と規制当局の双方で行き詰まりを見せるなか、アメリカ以外の規制当局が暗号資産についてどのように考えているかだ。他の主要経済国は、アメリカの行き詰まりに便乗したように見えるような枠組みにはしないだろう。しかし、コインベース(Coinbase)のような企業が海外に脱出する可能性もあると公言したことは、それこそアメリカ以外の国が準備していることだ。

問題は、アメリカが独自の規制フレームワークを打ち出した際、G20各国は、暗号資産分野を監督するために必要不可欠としているグローバルで調整されたルールのために、自国のルールを調整するかどうかだ。

シャイアン・ライゴン(Cheyenne Ligon)規制担当

商品先物取引委員会(CFTC)と証券取引委員会(SEC)の縄張り争いについてのセッションは、非常に興味深かった。当然のことながら、2人の元規制当局(1人はSECから、1人はCFTCから)は、暗号資産規制を明確にする道筋について、意見が対立した。元CFTCのブライアン・クインテンズ(Brian Quintenz)氏は、この問題を立法化するよう議会に呼びかけた。一方、元SEC弁護士のダン・バーコビッツ(Dan Berkovitz)氏は、立法化で問題が解決するとは思えないと述べた。

だが、当面、規制は執行によって行われるという点で両氏は意見が一致した。暗号資産規制はまだしばらく、混乱が続くだろうということだ。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Consensus 2023/CoinDesk
|原文:5 Consensus 2023 Takeaways