EUの暗号資産規制、各国財務大臣が承認──法制化へ前進

欧州連合(EU)の財務大臣によって、画期的な暗号資産(仮想通貨)規則の枠組みが5月16日に署名された。

27の加盟国を代表するEUの理事会は、暗号資産市場規制法(Markets in Crypto-Assets Act:MiCA)を全会一致で承認し、EUは暗号資産ライセンス制度を持つ世界初の主要な司法当局になることが決まった。また、暗号資産による資金移動に関する新たなマネーロンダリング防止策にも合意した。

「本日、暗号資産分野の規制を開始するという約束が実現したことを大変うれしく思う。我々は最近の出来事から、これらの資産に投資した欧州人の保護を強化し、マネーロンダリングやテロ資金供与の目的での暗号資産産業の悪用を防止する規則を課す緊急の必要性を認識していた」とスウェーデンの財務大臣であり、理事会議長国として協議の議長を務めたエリサベト・スヴァントソン(Elisabeth Svantesson)氏は声明で述べた。

先週、各国大使がMiCAと税制措置の両方にゴーサインを出したことから、この法律への合意はほぼ予想されていた。

MiCAは、ウォレットプロバイダーや取引所などの暗号資産企業が圏内で活動するためのライセンスを求めること、およびステーブルコインの発行者が適切な準備金を保有することを要求する。MiCAの主な内容は6月に政治的に合意されたが、行政的には保留が続いている。主要な条項が発効するのは、EU官報に掲載されてから約1年後であり、6月か7月になる見込みだ。

この日、各国の閣僚は暗号資産プロバイダーに顧客の保有資産の詳細を税務当局に開示させる新たな措置にも合意した。これは、海外の秘密の財布に資金をため込むことを避けるために、ブロック内で共有される。

「暗号資産や電子マネーは、経済活動やイノベーションを促進する大きな可能性を秘めているが、透明性を低下させ、脱税や不正を可能にするリスクもある。これらの問題に対処するために我々の税制を改正することは、欧州がデジタル移行を進める中で、各国の行政機関がより効率的に税金を徴収し、進化する技術に対応するのに役立つ」と、Economy that Works for Peopleの上級バイスプレジデント、ヴァルディス・ドンブロウスキス(Valdis Dombrovskis)氏は声明で述べている。

DAC8として知られる新しい税制は、OECDのモデルに基づいて欧州委員会が12月に提案し、5月12日に法案の最新案が発表された。しかし、欧州議会がこの問題について意見を出していないため、法律として成立するのはまだ先になるだろう。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:EU’s Crypto Legal Framework Inches Towards Law With Finance Ministers’ Sign-Off