ナイキのNFTスニーカー、度重なる延期やトラブルでも売上100万ドル突破

ナイキはWeb3プラットフォーム「.Swoosh」で、初のNFTスニーカーコレクション「Our Force 1(OF1)」を発売。開始日の延期、技術的トラブルにもかかわらず、売上は100万ドル(1億3500億円、1ドル135円換算)を超えた。

度重なる遅延

OF1の発売は、当初の予定だった5月8日から1週間遅れの5月15日にスタート。「ファーストアクセス」と呼ばれる第1回目のセールは、.SWOOSHコミュニティの初期メンバーに配布された参加チケット「ポスター」のエアドロップを受け取ったユーザーのみが対象だった。ナイキによると、ポスターは合計10万6453枚配布された。

「一般アクセス」と呼ばれるセールは、当初予定の5月10日から2週間遅れた5月24日に始まった。

ポリゴン(Polygon)ブロックチェーン上のトランザクションデータを確認できるPolygonscanによると、25日午後の時点で6万6000個以上のNFTが販売された。価格は「Air Force 1」が最初に発売された年を記念して19.82ドル。セールは6月1日まで継続予定で、これまでの売上高は約130万ドルにのぼる。

ナイキによると、初期の結果は期待できそうだが、技術的な問題とトラフィックの問題によって発売開始は何度も延期され、楽しみにしていたユーザーは煩雑なプロセスに不満を抱いているようだ。

また、ナイキの最新情報を見ると、売上は予想を下回っているようだ。ナイキの現物の人気スニーカーは発売後数分で完売することがよくあるが、OF1はまだ3分の1以上が購入可能になっている。

混乱や技術的トラブル

ファーストアクセスのセールは5月15日にようやく始まったものの、システムはたびたび遅延が発生し、不安定な状況となった。

5月7日、.SWOOSHのTwitterアカウントは、プラットフォームを「微調整」し、「シームレスな」エクスペリエンスを提供するために、あと数日かかるとツイートしていた。

だが、ファーストアクセスのセールが始まると、Webサイトは頻繁にクラッシュし、発行は数時間にわたって不安定になった。一部のユーザーは、不手際に失望を表明した。ナイキはマスを対象に限定版スニーカーを発売したことがあるのに、と。

5月16日、ナイキは「現在進行中の技術的問題のために」ファーストアクセスの期間を延長し、一般アクセスのセールの開始を延期した。だが、さらに「トラフィック上の問題」が発生し、2度目の期間延長を行った。

5月17日には、OF1はまだ8万5000個以上残っていると発表。NFT購入を望むユーザーは多いと思えたが、5月22日時点、在庫はまだ8万3000個前後残っている。

一般アクセスのセールは5月24日に始まったが、再び遅延が発生。NFTを受け取っていないにもかかわらず、料金が請求されたという声も出ている。これに対して、.SWOOSHは「NFT発行プロセスを妨げる予期せぬエラーが発生」したと述べた。

5月25日、ナイキは5万5000個以上のOF1を3万人以上が購入したとツイート、セールスの成功をアピールした。ナイキのスタッフも、.SWOOSHは「膨大なトラフィックに何とか対応している」との前向きな認識を示した。

CoinDeskはナイキにコメントを求めているが、当記事執筆時点までに返答はない。

Web3に積極的な取り組み

ナイキは過去数年にわたってWeb3戦略を拡大する施策を講じており、デジタルファッション・スタートアップ企業「RTFKT Studios」を買収。RTFKTは、これまでにCryptoKicksコレクションをはじめ、複数のNFTを発表し、成功させていた。

欧州のスーツケースメーカー、RIMOWA(リモワ)などのブランドやアーティストの村上隆氏と提携して限定版も発表している。

.SWOOSHは、今後数カ月以内に「.SWOOSHマーケットプレイス」を開始すると予告しており、仮想体験と現実体験、ゲーム、NFT、3Dなどに拡大する計画をアピールしている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林理南
|画像:Nike
|原文:Nike OF1 NFT Sale Surpasses $1M Despite Delays, Tech Issues