破産したスリー・アローズから差し押さえられたNFT、3億円超で売却

オークション大手のサザビーズ(Sotheby’s)は5月19日、破産した暗号資産(仮想通貨)ヘッジファンド、スリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital:3AC)が保有していた膨大なコレクションから差し押さえられた希少なNFT数点のオークションを終えた。売却金額は248万2850ドル(約3億3500万円、1ドル135円換算)で、破産の清算に充てられる。

オークションは「Grails(聖杯)」コレクションと名づけられ、主に2021年にスリー・アローズ・キャピタルが収集したNFTで構成されていた。

シンガポールに本拠を置くスリー・アローズ・キャピタルは2022年7月に破産を申請。破産管財人のテネオ(Teneo)は2023年2月、数百万ドル相当と推定される膨大なNFTを売却する意向を表明していた。

聖杯コレクションとしてセール

サザビーズは今回のオークションについて「これまでに収集された最も重要なデジタルアート作品」と評していた。出品されたNFTは、ジェネレーティブ(生成)アート作品7点で、タイラー・ホブズ(Tyler Hobbs)氏のFidenza No.725 、ディミトリ・チャニアック(Dmitri Cherniak)氏のRingers No.375、ラーバ・ラボ(Larva Labs)が作成したAutoglyph No.187とCryptoPunk No.1326など。

サザビーズはオークションカタログに「細心の注意を払って選ばれたこのコレクションは、現代のアルゴリズミックアートの限界を広げている主要アーティスト4人の作品が含まれている」と記した。

将来的には、スリー・アローズ・キャピタルのコレクションからさらに多くのNFTが、オークションやプライベートセールを通じて段階的に販売される予定。

今回、高額な落札価格となったのは、101万6000ドルのFidenza No.725と、57万1500ドルのAutoglyph No.187。いずれも12万~18万ドルになると予想されていたが、それを大きく上回った。

NFTの価値を評価

価値の高いNFTを分析する機械学習ツールのDeepNFTValueは、Fidenza No.725の価値を184.4ETH(約33万5000ドル)、Autoglyph No.187を205.7 ETH(約37万3800ドル)と推定。DeepNFTValueは、NFTの過去の販売状況、現在の市場状況、各コレクションの希少性の特性から、NFTの価値を分析している。

「落札予想金額は、オークションでより高額が出るように低く設定されるのだろう」と同ツールを開発したDeepNFTValueのニコライ・ヤコヴェンコ(Nikolai Yakovenko)CEOはCoinDeskに語った。

スリー・アローズ・キャピタルが2021年8月に有名なNFTコレクターのヴィンセント・ヴァン・ドー(Vincent Van Dough)氏と提携して設立したファンド、スターリー・ナイト・キャピタル(Starry Night Capital)のNFTは、今後のサザビーズの販売予定に含まれていない。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林 理南
|画像:Autoglyph No.187(左)、Fidenza No.725(右)(Larva Labs/Art Blocks, modified by CoinDesk)
|原文:Sotheby’s Auctions Part of 3AC’s Rare NFT Collection, Bringing In $2.4 Million