SEC提訴でコインベースからの純出金額が6億ドルに

米証券取引委員会(SEC)が6月6日、暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)を5日のバイナンス(Binance)に続けて連邦証券法違反の疑いで提訴したことを受け、両日にコインベースからの出金が急増した。

出金急増も現在は落ち着く

ブロックチェーン分析企業ナンセン(Nansen)のデータによると、コインベースからの過去24時間の純出金額は6億ドル(約840億円、1ドル140円換算)に達した。出金総額は13億8000万ドル、入金総額は7億7100万ドルで、大幅な出金超過が発生している。なお、データにはビットコイン(BTC)の送金額は含まれていない。

この出金超過は、アメリカ規制当局のトップであるSECがバイナンスとコインベースを立て続けに提訴したことで発生した。さらに、アメリカの州規制当局の多くが、コインベースが「アーン(Earn)」プログラムでステーキング報酬を提供したことで法律に違反したとの疑いをかけている。

ナンセンのデータによると、出金のピークは2回あった。5日にバイナンスに対する提訴が発表されてから1時間以内に純出金額が4億5000万ドルに達し、その後は安定していた。コインベースに対する提訴を受けて6日に出金が再び増加したが、その後は沈静化した。本記事執筆時点では、過去1時間の入金額と出金額の差はプラスに転じている。

バイナンスでは出金超過が続く

一方、バイナンスではSECの措置を受けて、出金の流れがさらに加速している。暗号資産運用会社21Sharesがまとめたデータによると、5日の純出金額は7億ドルを超えた。これは、米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)がバイナンス関連のステーブルコインであるバイナンスUSD(BUSD)の発行停止を命じた2月以来、1日当たりの純出金額としては最大規模となる。ナンセンのデータによると、出金超過の傾向は6日も続き、過去24時間の純出金額は12億ドルを超えた。

この規模の出金超過は、過去には3月の銀行危機や昨年末の暗号資産取引所FTXの破綻のような暗号資産業界に大きなストレスを与えた出来事の際に起きている。FTXの破綻は、中央集権型取引所に対する投資家の信頼を揺るがした。

ブロックチェーン調査企業アーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)のデータによると、バイナンスとコインベースはいずれも順番に出金を処理している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林理南
|画像:Nansen
|原文:Coinbase Traders Withdraw $600M in a Day Amid SEC Lawsuits