ブリテン氏、犯罪者排除目指し「プライバシープール」の論文を発表

ブロックチェーンプロトコルは正直者と犯罪者を区別できるのか?

イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン(VitalikButerin)氏は6日、4人の共著者と共に論文「ブロックチェーンのプライバシーと規制遵守:現実的な均衡に向けて」を発表した。犯罪者を区別する方法に関するもので、「プライバシープール」と呼ばれる新しい技術機能について詳述している。

犯罪行為に関わる取引を分離

この「スマートコントラクトベースのプライバシー強化プロトコル」は、犯罪行為に関わるトランザクション(取引)を、誠実なユーザーによるものから分離するように設計されている。

今回の論文は、ブロックチェーンにおけるプライバシーに関する懸念が高まり、資金の隠蔽や資金洗浄にプライバシーミキサーを利用する犯罪グループに対する取り締まりを政府が行っている中で発表された。

最もよく知られているプライバシープロトコルの1つは、暗号資産の「ミキサー」であるトルネード・キャッシュ(Tornado Cash)だ。これは、北朝鮮のハッカー集団Lazarusがマネーロンダリングのツールとして使用した疑いがあるため、米財務省から制裁を受けている。

ブテリン氏は、トルネード・キャッシュはプライバシー問題に対する優れた解決策だが、ネットワーク上の犯罪行為から切り離すための選択肢が限られていることを認めた。

ゼロ知識テクノロジーを利用したプライバシープールは、トランザクションデータに関するプライバシーをユーザーに提供すると同時に犯罪行為から区別できるため、理論的にはこの問題の一部を解決できる可能性がある。誠実なトランザクションをプールすることで、ユーザーは自身のトランザクションが誠実な資金源に由来するものであることを証明できる。

論文では、「『良い』資産を持つすべてのユーザーは強力なインセンティブを持ち、『良い』のみが関連付けられたセットのメンバーであることを証明する能力を持っている」とされ、「一方、悪意のある者はその証拠を提供できない」と説明された。

規制遵守を目指す

ブロックチェーン上での犯罪行為を取り締まる規制当局が増える中、ブテリン氏は、こうした技術的イノベーションが規制を遵守できると示すことを目指している。

著者らは、「多くの場合、プライバシーと規制遵守は両立しないものと認識されている」とし、「この論文は、プライバシー強化プロトコルによってユーザーが資金の出所に関する特定の特性を証明できるのであれば、必ずしもそうである必要はないことを示唆している」と主張した。

|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Ethereum’s Vitalik Buterin Argues for Blockchain ‘Privacy Pools’ to Weed Out Criminals