ゲンスラーSEC委員長、上院での証言前に暗号資産への強硬姿勢を強調

米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は、暗号資産業界との全面的な法廷闘争においてSECが二度敗訴したこと後の発言で、暗号資産への反対姿勢をさらに強調していた。

12日に米上院銀行委員会に提出された証言文書によると、暗号資産擁護派を活気づかせたリップル(Ripple)社に関する判決、そしてグレイスケールのETF転換申請にまつわる裁判での敗訴の後も、ゲンスラー委員長は暗号資産業界に対して警告を続ける姿勢を堅持している。

「この業界の広範な証券法違反を考慮すると、これらの市場で多くの問題が起きていることは驚くべきことではない」とゲンスラー委員長は議会証言の前日11日に発表された文書で述べている。

ゲンスラー委員長は議会証言でたびたび話題になる点に触れた。

「暗号資産の大半は、投資契約テストに該当する可能性が高い」「ほとんどの暗号資産が証券取引法の対象になることから、ほとんどの暗号資産仲介業者も同様に証券取引法を遵守しなければならない」

多数の取引所を提訴

リップル社と暗号資産エックス・アール・ピー(XRP)の販売にまつわる裁判では、同社が個人にXRPを販売することは証券取引法に違反しないとされた。SECは控訴手続きを進めているが、同じく規制当局からの訴訟に直面している暗号資産企業は、この判決を引用して棄却を求める可能性が高い。

しかし、同じ裁判所の別の裁判官の少なくとも1人は、テラフォームラボ(Terraform Labs)に対する判決で、リップル社の判決をもとにした主張を却下している。

ゲンスラー委員長は、最近の執行措置および暗号資産企業に影響を与える2つの規制案(カストディに関する提案と、暗号資産取引所の再定義に関する提案)を強調する一方で、「現在進行中の訴訟」については証言できないとする見込み。つまり、SECによるコインベースとバイナンスの提訴など、業界が最も注目しているテーマはほぼ触れられないことになった。

|翻訳:清水マキ
|編集:増田隆幸
|画像:ゲーリー・ゲンスラーSEC委員長(CoinDesk)
|原文:Defiant Gensler Returns to Crypto Grievances Ahead of Senate Testimony