米雇用統計の発表を受けて、ビットコインに強気になれない理由はない:専門家が指摘

ビットコイン(BTC)は、11月3日にアメリカの非農業部門雇用者数(NFP)が発表されてから、上昇の勢いがない。それでもデータは連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め終了を示唆していることから、市場センチメントは依然としてポジティブだ。

アンバーデータ(Amberdata)のデリバティブ部門ディレクター、グレッグ・マガディーニ(Greg Magadini)氏は、「BTCに強気になれない理由はない」とEメールで述べ、この暗号資産(仮想通貨)の継続的な上昇のきっかけになりそうなものとして、雇用統計の数字と最近の株式市場のボラティリティ指数の下落を挙げた。

アメリカ労働省が3日に発表した雇用統計は、9月に29万7000人増加した雇用創出が、10月は15万人に減速したことを示した。一方で、失業率は3.9%に上昇し、平均時給で測定される賃金の伸びは軟化し、ディスインフレの継続を示唆した。

このデータにより、FRBが利上げを見送る可能性が高まった。FRBは昨年3月以来、金利を525ベーシスポイント引き上げ、5.25%にした。インフレ抑制を目的としたいわゆる引き締めは、昨年の暗号資産市場下落の一因となっている。

「NFPの数字は、9月(+33.6万→+29.7万)と8月(+22.7万→+16.5万)ともに予測よりも低かった。消費者物価指数(CPI)と時間当たり所得の動向も順調に推移しており、FRBが引き続きハト派的なトーンで発言する余地がある」とマガディーニ氏は指摘する。

ビットコインの上昇継続を裏付けるのは、アメリカの株式・債券市場のボラティリティの低下だ。チャートプラットフォームのTradingViewによると、S&P500のVIX指標は過去5取引日で21.13から14.19に急落し、米国債市場のボラティリティをオプションベースで測定するMOVE指数は132から118に低下した。中東情勢の緊迫化は、もはや市場の焦点ではなくなっているのかもしれない。

伝統的な市場、特に債券のボラティリティが低下することで、グローバル市場の流動性ストレスが緩和され、リスクテイクが促進されるだろう。

「中東での戦争は(私の理解を超えるものだが)市場を牽引するニュースとしては後手に回ったようだ。私はリスク資産の救済ラリーが続くと予想している。特に、VIXとVVIX(VIX指数の変動率の予想)の前週比の大幅な下落と、トレーダーが第4四半期に求める典型的な年末ラリーのシナリオを考えれば」とマガディーニ氏は述べている。

ビットコインは記事執筆時点で3万5100ドル付近で取引されている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:There Is No Reason Not to Be Bullish on Bitcoin After Payroll Data, Crypto Expert Says