バイナンスが米「完全撤退」、数十億ドルの罰金支払いへ

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)は、アメリカ当局と和解するために、同国から撤退して数十億ドルの罰金を支払うほか、5年間監視人を任命する。金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)および米財務省のマネーロンダリング・制裁監視機関である財務省外国資産管理局(OFAC)からの告発をめぐる和解であり、21日に発表されたプレスリリースで明らかになった。

アメリカからの完全撤退へ

支払う罰金は、FinCENに対して34億ドル(約5100億円、1ドル150円換算)、OFACに対して9億6800万ドル(約1452億円)。両機関は、銀行秘密法と複数の制裁プログラムに違反したとしてバイナンスを提訴していた。バイナンスはすでに、制裁法違反と適切な本人確認(KYC)プログラムの維持を怠った容疑で和解するため、罰金と財産の押収で司法省に対して43億ドル(約6450億円)を支払うと発表していた。バイナンスの創設者兼CEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏は、和解の一環としてCEOを辞任する。

さらに、バイナンスはFinCENとの和解の一環としてアメリカから「完全撤退」し、制裁遵守プログラムを監督する監視人を5年間任命することになる。その間、米財務省はバイナンスの記録とシステムにアクセスできる。

ジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官は21日に記者団に対し、今回の措置は財務省史上最大の和解だったと指摘。「この監視活動がいかに前例のないものであるかを国民に本当に理解してもらいたい」とし、「我々はこのひどい行為を追及するだけでなく、バイナンスをアメリカから完全に排除するつもりだ」と表明した。

バイナンスUSは影響受けない

イエレン長官は、バイナンスUS(Binance.US)と呼ばれる別の取引所は、バイナンスの米関連会社であるBAM Trading Servicesの運営名であり、登録された金融サービス事業であるため、バイナンス撤退の影響を受けないと明言した。

FinCENとOFACは、バイナンスがハマスやイスラム国(ISIS)と関係のある個人、北朝鮮などの制裁対象地域の人々、マネーロンダリング業者、悪意のあるサイバーセキュリティアクターに対して同社のプラットフォームの使用を許したと指摘した。

プレスリリースでは、「アンチマネーロンダリング(AML)と制裁義務を遵守しなかったことで、バイナンスはさまざまな違法行為者がプラットフォーム上で自由に取引できるようにした」とされている。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Jesse Hamilton/CoinDesk
|原文:Binance to Make ‘Complete Exit’ From U.S., Pay Billions to FinCEN, OFAC on Top of DOJ Settlement