日米韓会談で北朝鮮の暗号資産窃盗について協議

日米韓3カ国の国家安全保障当局者らは、北朝鮮による暗号資産窃盗や核・弾道ミサイル計画を進めるためのその他の取り組みについて協議した。ホワイトハウスが8日夜に発表した。

国家安全保障担当当局者が協議

アメリカのジェイク・サリバン(Jake Sullivan)国家安全保障担当大統領補佐官、韓国のチョ・テヨン国家安保室長、日本の秋葉剛男国家安全保障局長が韓国のソウルで会談し、北朝鮮と同国が進める大量破壊兵器計画を含む様々な問題について話し合った。

発表文では、「国家安全保障当局者らは、地域危機に関する協議コミットメント、弾道ミサイル防衛データの共有、違法な大量破壊兵器プログラムのための収益を生み出すことを目的とした北朝鮮による暗号資産の使用に対応するための共同の取り組みなど、広範な三国間イニシアチブの進捗状況をレビューした」とされている。

発表文によると、3人の当局者は北朝鮮のロシアとの関係についても協議した。

北朝鮮による窃盗に各国政府が注目

北朝鮮が業界のさまざまなプロジェクトから数十億ドル相当の暗号資産を盗んだことは、各国政府機関の注目を集めている。アメリカ政府は、北朝鮮と関係する悪名高いハッキング組織のラザルス・グループ(Lazarus Group)が昨年、アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)のRoninブリッジから6億ドル(約870億円、1ドル145円換算)以上を盗んだと主張した。

米財務省外国資産管理局(OFAC)は、北朝鮮のハッカーが盗んだ資金の移動に使用したとして複数のミキサーに制裁を科した。先週にも、OFACはミキサーのシンドバッド(Sinbad)に関連する2つの暗号資産アドレスを制裁対象に追加した。複数の国の警察当局が共同でシンドバッドのウェブサイトの押収も行った。

OFACはまた、兵器計画に利用するために盗まれた資金を洗浄する北朝鮮の取り組みを支援したとして、さまざまなウォレットアドレスや個人をドル基盤の世界金融システムから排除した。

最も有名なケースでは、OFACがプライバシーツールのトルネード・キャッシュ(Tornado Cash)を制裁対象に加え、盗まれた1億ドル相当以上の暗号資産がミキサーサービスを通じて流出したと主張した。

このプロジェクトの開発者のうち、ロマン・ストーム(Roman Storm)氏とアレクセイ・パーセフ(Alexey Pertsev)氏の2人は現在、トルネード・キャッシュでの活動をめぐり、アメリカとオランダでそれぞれ起訴されている。3人目の開発者であるロマン・シミョノフ(Roman Semenov)氏はマネーロンダリングと制裁違反で起訴されたが、まだ逮捕されていない。

ストーム氏は来年裁判を受ける予定。

|翻訳・編集:林理南
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|原文:U.S., South Korea, Japan Discuss North Korean Crypto Thefts in Trilateral Meeting