ビットコイン、中国の2兆元規模の市場刺激策に反応せず

中国当局は、低迷する株式市場を立て直すための2兆元(約40兆円、1人民元=20円換算)規模の市場安定化策を検討している。その期待によって香港と中国本土の市場を押し上げたこの計画の影響は、ビットコイン(BTC)の価格には波及していないようだ。

複数の取引所から価格を収集しているCoinDesk Indicesのデータによると、記事執筆時点でビットコインは2.3%下落し、4万ドルを下回った。また、香港時間の正午までにCoinDesk 20は2.5%下落した。

ブルームバーグによると、北京は国有企業のオフショア口座や現地資金を利用し、香港の取引所リンクを通じてオンショア株に投資する計画で、その他にもまだ発表されていない措置もあるという。

このニュースを受けて地元株式市場指数は好意的に反応し、香港のハンセン指数は2%上昇、中国本土株の指数であるCSI300は0.15%上昇した。 ハンセン指数は過去1年間で31%下落し、CSIは23%下落していた。

今回報じられたオフショア資金を中国本土の株式市場に注入する方法は、流動性と信頼性を高めることを目的としている。ブルームバーグはまた、規制の変更から金融介入に至るまで、まだ詳細が決まっていない追加的な支援策が、指導部の承認待ちであるとも報じている。

最近、中国の李強首相は、株価を回復させるために、より強力な対策を講じる必要性を強調した。

ビットコインについては、上場投資信託(ETF)への資金流入とグレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)からの記録的な資金流出により、市場力学が大きな影響を受けているとCoinDeskは以前報じた

さらに、一部のアナリストは、株式市場の下落とドル高の進行の中で中国人民銀行が人民元を支援する措置を講じれば、米ドルとの逆相関によりビットコインの価格にマイナスの影響を与える可能性があると考えている。

トロントに拠点を置く暗号資産プラットフォームFRNT Financialの国際流通責任者を務めるデイビッド・ブリッケル(David Brickell)氏は「中国は、通貨安定のための相対的なベールを維持し、資本逃避を阻止するためにBTCに蓋をし続けることにインセンティブがある。 人民元が圧力にさらされた過去のイベントは、ビットコインのパフォーマンス低下と重なっていた」とCoinDeskのインタビューで語っている。

しかし、より楽観的な見方をする市場関係者もいる。

デジタル資産ソリューションを手掛けるVDXのリサーチ責任者グレタ・ユアン(Greta Yuan)氏は「中国経済の回復は世界経済に大きな影響を与えるため、景気刺激策や緩和的な政策は投資家にとって心強いサインとなる。暗号資産市場もこのような政策をリスクオンと受け止め、市場拡大に積極的で革新的な姿勢を示すだろう」とメモの中で述べている。

一方、インドは企業業績が好調を維持し、香港を抜いて世界第4位の株式市場になった。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Unphased by China’s Stimulus Plan