NFTはデジタル資本主義の鍵を握る:アニモカ創業者が主張
  • アニモカブランズの創設者であるヤット・シウ氏は、NFTは十分に活用されておらず、デジタル資本主義の主要な構成要素として権利管理や教育などの業界を変革できると考えている。
  • シウ氏は、現在のNFTの評価の低さは、世界的な金融格差への対応や金融リテラシーの促進において極めて重要なこの技術の有用性に対する、より健全で純粋な関心を示していると主張している。
  • このビジョンをサポートするためには、特にアメリカにおける法的枠組みを進化させる必要がある。

Web3大手のアニモカブランズ(Animoca Brands)の創設者であるヤット・シウ(Yat Siu)氏は、米CoinDeskとの最近のインタビューで、「我々は非代替性トークン(NFT)の有用性を活用できていない」と述べた。

NFTは、デジタル資産や有形資産の所有権をユーザーに提供するトークンだ。これらのトークンは、2021年の強気相場で大人気となり、その後、急落した。

かつてスリーアローズの(Three Arrows)のスターリーナイト(Starry Night)のポートフォリオの一部だった「Grails(聖杯)」NFTコレクションがサザビーズで予想価格の2倍以上で落札されたり、1月にはNFTがイーサリアム(ETH)の上昇を上回ったりと、市場にはポジティブな動きもあった。

しかし、ブロックチェーン上で適切なデジタル所有権を持つことは、教育からゲームまであらゆるものに関わる権利管理とコンテンツ配信という数十億ドル規模の産業を破壊する鍵となる。

「NFTは教育コンテンツ配信に革命をもたらし、特に裕福でない地域に大きな経済的機会を提供することができる」とシウ氏は述べた。

シウ氏は、同社が2022年に買収した教育コンテンツプラットフォームのタイニータップ(TinyTap)の例を取り上げた。このプラットフォームを利用する教師は、出版社のような従来の障壁を回避して、コンテンツを収益化することができる。今のところその数は少ないが、これはグローバル・サウスの人々にとって重要な受動的収入源となるだろう。

シウ氏は、NFTの評価がかつての強気市場の絶頂期に比べて低くなっているのは悪いことではないと主張する。なぜなら、投機家がいなくなれば、残されるのは純粋にこの技術に興味を持つ人々だけとなり、その基盤が強化されるからだ。

「NFTの有用性は、デジタルな所有権であり、誰もがお金を稼ぐことができることだ」とシウ氏は述べ、それこそが不平等への解毒剤であり、金融リテラシーの高い社会を構築する第一歩だと付け加えた。

「アジアでは、NFTと暗号資産は、デジタル資本主義の延長線上にあると考えられており、人気がある」と彼は言い、民主主義と資本主義の関係は不可欠であると主張した。「私が現在感じている最大の脅威は、我々が資本主義を理解していないことだ。そのため、世界で起きているお金の動きを見ると、不公平だと考えてしまうのだ」。

「財産権と資本主義は、民主主義を可能にする基盤だ」と彼は続けた。

シウ氏は、アメリカではこのデジタル資本主義に拒否反応があると指摘する。それは、NFTの金銭的側面に対する感情的な反応に起因しており、現実世界における金銭に関するより広範な感情を反映しているとシウ氏は述べ、こうした認識に対処するための教育の重要性を強調した。

格差は拡大傾向にあって、アメリカの民主党は「極左」に傾いており、それは「民主主義への脅威」になると彼は言う。

「共産主義の根源は不平等感から生まれた。それとWeb3と金融リテラシーには相関関係がある」と彼は述べた。「Web3はユーザーを利害関係者や共同所有者にすることで、資本主義の物語を救うことができる」。

シウ氏のNFTに対する楽観的なビジョンは、ブロックチェーンとWeb3が投機以上の有用性を持っていると主張する人々にとっては一服の清涼剤かもしれないが、アメリカ証券取引委員会(SEC)は、昨年8月に発表された最初の強制措置で、この業界に襲いかかる準備ができているようだ。

資本主義を救い、不平等を緩和しようとするNFTプロジェクトに「未登録証券」の烙印が押されないよう、法的枠組みはまだ発展する必要がある。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:台湾ブロックチェーン・ウィークでCoinDeskのインタビューを受けるヤット・シウ氏(Ta Zhi DAO)
|原文:NFTs Are the Pillars of Digital Capitalism, Animoca Founder Says