主要な指標がビットコインのウォッシュアウトの可能性を示唆
  • ビットコイン先物・オプションに基づく主要指標は、市場におけるレバレッジの過大な水準とウォッシュアウトの可能性を示唆している。
  • ビットコインはここ数週間、狭いレンジに制限され、ブレイクアウトを待っている。

ビットコイン(BTC)の指標は、市場に投機的なフロス(細かなバブル)が蓄積していることを示唆しており、多くの場合、レバレッジのウォッシュアウトと突然の価格急落が起こることになる。

暗号資産(仮想通貨)のストラクチャリングおよびトレーディング・ソリューション会社であるSTS Digitalが追跡したデータによると、インプライド・イールド・ベーシス(1カ月物の先物価格とスポット市場価格の年率換算スプレッド)とオプションによる1カ月物のインプライド・ボラティリティ(予想ボラティリティ)の比率は、今年に入って2倍以上の約0.34となっている。

STS Digitalのシニアトレーダー、ジェフ・アンダーソン(Jeff Anderson)氏は米CoinDeskに、「インプライド・イールド・ベーシスが原資産のボラティリティに比べて大きい場合、レバレッジや投機のレベルが異常に高いことを意味する」と述べた。

過剰に強気な投機は、レバレッジのウォッシュアウト、つまり証拠金不足によるレバレッジポジションの強制決済につながることが多い。そして、ロングの清算は、価格の下落に拍車をかけることになる。

「市場は上昇する方向にあるようだが、上場投資信託(ETF)のローンチ後、スポットのフローが市場をリードしている(つまりスプレッドが引き締まる可能性を示唆している)ことを考えると、市場は興味深い動きを見せている」とアンダーソン氏は付け加えた。

ビットコインは今年、主に先月承認されたスポット型上場投資信託(ETF)への大きな流入を背景に、5万1500ドルまで約22%上昇した。しかし、流入は先週鈍化し、2月21日には10のETFがわずか500BTCを集めただけだった。

ビットコインのインプライド・イールド・ベーシスとオプションによる1ヵ月物インプライド・ボラティリティの比率(STS Digital)

プロップ・トレーダーのジュリアン(Julien)氏がXで指摘したように、2023年の第3四半期と最終四半期に見られたオプションによるボラティリティと比較して極端な先物ベーシスの取引の後は、1日の価格変動が大きくなった。

レンジからのブレイクアウト待ち

ビットコインはここ数週間、5万500ドルから5万3500ドルの間の狭い範囲で取り引きされている。 市場はこのような期間にエネルギーを蓄積し、最終的にはどちらかの方向への大きな動きを生み出す。

「BTCは現在、マイナスのガンマプロファイル範囲にあるが、スポット価格は5万ドルから5万2000ドルの範囲の間に留まっているようだ。勢いが生まれるためには、そこから抜け出す動きが必要だ」とアンバーデータ(Amberdata)のデリバティブ部門ディレクター、グレッグ・マガディーニ(Greg Magadini)氏は週次のニュースレターで述べた。

マイナスのガンマとは、オプションのマーケットメーカーが価格の方向に取引する、つまり高値で買って安値で売ることでトレンドを強化する状況のことだ。

ビットコインの価格チャート(CoinDesk)

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Indicator Suggests Potential for Leverage Washout