ビットコインは今年、誕生から15年を迎えた。そして今、我々は1990年代と同じような段階にいる。つまり、暗号資産(仮想通貨)はインターネットと同様に、ブロックチェーンの性能向上によって、初期の普及段階からメインストリームに受け入れられるまでのギャップを越えつつある。
次の10億人のユーザーを取り込むために重要な次のステップは、ブロックチェーンがユーザーを引き付け、維持する能力にかかっている。この点で、米暗号資産取引所コインベース(Coinbase)が開発したイーサリアムのレイヤー2ブロックチェーン「Base」は、今年目覚ましい成長を遂げ、トップランナーとして浮上している。
Baseの成功の要因は?
- ユーザー獲得のためのコインベースの活用:Baseはユーザーを暗号資産エコノミーにシームレスにつなぐために、コインベースによって開発された。コインベースのモバイルおよびウェブアプリケーションにインテグレートされており、取引所から法定通貨への出し入れが簡単だ。コインベースのユーザー数は1億1000万人、Baseのユーザー数は700万人であり、成長の余地は大きい。
- ユーザーエクスペリエンス(UX):コインベースは、メインストリームでの普及のための最大のハードルに対処するため、ユーザーインターフェイス(UI)の大幅な改善を開始している。「Smart」ウォレットはログインプロセスを簡素化し、長いリカバリーフレーズを覚える必要がない。一方、「Magic Spend」はスマートコントラクトを使用してガス代支払いの複雑さをなくし、dApp(分散型アプリ)がユーザーに代わってガス代を支払うことを可能にする。さらに、コインベースはより多くの顧客のUSDコイン(USDC)残高をBaseで保管する予定であり、オンチェーンでの展開を容易にする。
- 強力なコミュニティ:Baseの生みの親であるジェシー・ポラック(Jesse Pollack)氏は、Baseコミュニティ内で最大のインフルエンサーでもある。また、Friend.TechやFarcasterのようなBaseを基盤としたソーシャルdAppは初期の成功を収めており、Web3ソーシャルと忠誠心の強いコミュニティ構築におけるメリットを実証している。
Baseには独自トークンは存在しないが、ガス代にはイーサリアム(ETH)を、ガバナンスにはオプティミズム(OP)を使用しており、Base上で最大のDEX(分散型取引所)トークンであるAEVOは、投票エスクローメカニズムを通じてBaseエコシステムのインセンティブトークンとして機能している。
Baseのエコシステムファンドは、プロジェクトにインセンティブとして配布するためにAEROを集めており、プロジェクトは流動性を高めるためにAEROをロックすることができる。
好調なBase上のプロジェクト
Baseではいくつかの定評あるDeFiプロジェクトが展開されているが、Baseネイティブのプロジェクトが大きな市場シェアを獲得している。
TVL(預かり資産)でBase最大のDEXであるAerodromeは最近、ユニスワップ(Uniswap)とほぼ同額の手数料収入を生み出しており、ユニスワップが16のチェーンで展開されていることを考えると特筆すべき成果だ。
Moonwellは、Base上の主要なレンディングプロトコルで、Base上のアーベ(AAVE)とコンパウンド(Compound)を合わせたものにほぼ匹敵するTVLを誇り、年初から4倍のユーザー成長を見せている。
「USDC Anywhere」プログラムを通じて、Moonwellはコインベースに保管されているUSDコイン(USDC)に加えて、サークル(Circle)がサポートするあらゆるチェーンに保管されているUSDCを利用できる。
当初はミームトークンだったが、現在では事実上のアプリ内トークンとしてFarcasterによって利用されているDegenは、1カ月でユーザー数が5倍になり、ソラナ(Solana)ブロックチェーンの人気ミームコイン、BONKが打ち立てた記録を上回った。
コインベースのサポートと、エコシステムおよびコミュニティの急速な発展により、Baseはブロックチェーンテクノロジーをメインストリームに近づけるパイオニアとなる態勢を整えている。
|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Danny Nelson/CoinDesk
|原文:Why Base Chain Has Potential to Lock the Next Generation of Crypto Users