次のビットコイン半減期は個人マイナーを締め出す。だが価格への影響は不明

次のビットコイン半減期は個人マイナーを締め出す。だが価格への影響は不明

Brady Dale
公開日:2019年 10月 18日 15:00
更新日:2019年 10月 24日 12:16

次の半減期はビットコイン価格を高騰させるだろうか?

おそらく、そう簡単にはいかないだろう。マイナー報酬の半減期が近付く中(2020年5月と見込まれている)、人々はその期待される効果に異議を唱えている。

ビットコインは2012年11月と2016年7月、これまでに2度の半減期を経験しており、どちらも強気市場の始まりとなった。しかし、半減期が上昇傾向をもたらすのか、もしそうだとしても、上昇傾向はどれほど強いものになるのかについては議論の余地がある。

マイナーらは先週、中国のマイニング機器メーカーでマイニング・プールを保有するビットメイン(Bitmain)がフランクフルトで開催したワールド・デジタル・マイニング・サミット(World Digital Mining Summit)でこの問題を議論した。

価格への影響

ビットメインの共同創業者で元CEOのジハン・ウー(Jihan Wu)氏は、半減期後の価格高騰の見込みについて「悲観的」。同氏は、これまでの2度の上昇傾向は、その当時の「バブルとその崩壊のサイクル」を追ったものかもしれないと述べた。

さらにウー氏は、価格の高騰ではなく下落を引き起こした8月のライトコインの半減期に言及した。ライトコインの価格は、2019年上半期に31ドル(約3400円)から135ドル(約1万4600円)へと急騰した。だが、半減期直前の7月に下落を始めた。現在は約57ドル(約6200円)で取引されている。

「人々は半減期を前にしていろいろ考え過ぎているのかもしれない。そして良いニュースに反応できなくなっている。もしかしたら今回は、上昇サイクルはまだ来ていないのかもしれない」

サミットのステージ裏でウー氏は、人々は「事前に価格上昇に賭け始めている」ため、半減期によって見込まれる価格上昇はすでに織り込み済みかもしれないとCoinDeskに語った。

「初回と2回目の半減期では、何が起こるのか分からなかった。そして2回目の半減期では、スケーリングについての議論が事態を複雑にした。いまや人々はそれを見込んでいる」

しかし、ブロックチェーン・ソフトウエア企業ブロック(Bloq)の会長のマシュー・ロスザック(Matthew Roszak)氏は、異なる意見を持っている。同氏は、ビットコインをめぐる金融エコシステムの成熟は、長期にわたって高い価格を維持することを証明していると述べた。

「フィデリティ(Fidelity)やバックト(Bakkt)、その他業界に参入しているお馴染みの企業にとって、より良い足がかりがある」とロスザック氏は述べた。フェイスブック(Facebook)のリブラ(Libra)をめぐる騒ぎも、この業界への新たな関心と新規参入を促していると語った。

「機関投資家からの需要は、いまだに大きくなり続けている。カストディ・プラットフォーム、保険、コンプライアンス、規制などが話題となっており、これはビットコインにとって良いことだ」

ロスザック氏は、ビットコイン価格は「1万5000ドルから10万ドル(約160万円から約1080万円)の間のどこか」に達し、半減期によって「10年超の価格上昇」が始まると予想している。

収益性の維持

半減期の影響について誰が正しいとしても、世界中のマイナーにとって重要な出来事であることに変わりはない。報酬が半減することによって、収益性は少なくとも短期的には減り、ASICと呼ばれるマイニング専用機器の旧バージョンでは利益が出なくなる。

ビットメインの最も人気の高いASIC、アントマイナーS9(Antminer S9)は生産性の限度に達し、「多くのマイナーは利ざやで運用している」と「ジェネシス・マイニング(Genesis Mining)」のCEO、マルコ・ストレン(Marco Streng)氏はステージ上で述べた。

S9とカナン・クリエイティブ(Canaan Creative)のアヴァロンA851(Avaron A851)シリーズは、同じような計算能力を持ち、現在、マイニング機器では最も広く使われている。マイニング・プール「f2プール(f2pool)」のインデックスによると、これら旧型モデルは現在のビットコイン価格で50%の利ざやがある。

こうしたマシンを新型マシンと交換することは有益と、サミットの討論会では意見が一致した。だがウー氏は、マイナーが最大限にマシンを購入することに注意を促した。

「もし私がマイニング・リグに投資しているとしたら、より保守的になる。だが、投資は続ける」

ビットメインは9月に新型のアントマイナーS17をリリース、10月18日(現地時間)には、さらにダイナミックなS17+の発売も開始する。

個人マイナーの一掃

ジェネシス・マイニングのストレン氏は、流通しているハードウエアの減少は、長期的に業界にとって有益と述べた。

「マシンのライフサイクルがきわめて長い、本当の重工業に向かっている」

「(半減期は)非常に残酷なイベント。非効率的なマイナーのほとんどは一掃されるだろう。しかし、イノベーションを促進している」とストレン氏はCoinDeskに語った。

「心理的なイベントで、価格が上昇する傾向がある。私の経験では、多くのマイナーは価格の上昇を見込んで、売りを控え、市場の売り圧力を弱めている」

ストレン氏によると、半減期の主な影響は現在、市場の20%未満を占める小規模の個人マイナーの一掃にある。

マイニング・ソフトウエア企業Uマイナーズ(Uminers)の共同創業者、アレクサンダー・ガブリック(Alexander Gavrik)氏は、メインプレイヤーが大きくなるにつれ、市場のボラティリティは小さくなっていると述べた。

「市場は工業マイニングに向かっており、今までのような派手さはなくなるだろう。今や市場には、仮想通貨愛好家はほとんどいない」

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:ASIC miners image via Shutterstock
原文:Next Bitcoin Halving Could Squeeze out Retail Miners, But Jury’s Split on Price