元銀行家、初の機関投資家向けホットウォレットを発表

元銀行家、初の機関投資家向けホットウォレットを発表

デジタル資産カストディプロバイダーの「トラストロジー(Trustology)」はUBS、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、バンク・オブ・アメリカ出身の元銀行家たちが作った企業、あらゆる分散型金融(DeFi)に対応するよう設計されたカストディアル・ウォレットを発表した。

トラストヴォルト(TrustVault)」と名付けられウォレットの最初のバージョンは、単純な仮想通貨ウォレット・スマホアプリに似ていた。だが裏側では、ユーザーの秘密鍵は安全なデータセンターに分散配置された認証プロセスを使ってトラストロジーが運営しているハードウエア・セキュリティ・モジュール(HSM)のクラスター内に保管されていた。

新バージョンはブラウザーで動き、仮想通貨ウォレット「メタマスク(MetaMask)」と互換性がある。

機関投資家を引き付けるために分散型取引所を使い始めたり、メーカーダオ(MakerDAO)でステーブルコインを作ったり、コンパウンドファイナンス(Compound Finance)を通して仮想通貨を貸し借りできるなど、トラストヴォルトは今やイーサリアム上でブラウザーをさまざまな分散型アプリとつなげる。これは極めて多くの仮想通貨が利用可能で、そうした仮想通貨へのアクセス方法が変化していることに対応した結果だ。

「ブロックチェーンを使うと、新たなスマートコントラクトを作成することで、異なるライフサイクルイベント、異なるサービスアクションを備えた新しい資産クラスを数時間で作成できる」とトラストロジーの創業者兼CEO、アレックス・バトリン(Alex Batlin)氏は語った。

今年はじめ、トラストロジーはカストディプロバイダーのアンカレッジ(Anchorage)やVo1tと同様に、保険会社エーオン(Aon)と連携し始めた。「市場にカストディアルかつDeFi対応のものが他にあるとは思えない」と同氏は語った。

トラストヴォルトのスクリーンショット

バトリン氏は、独自のメソッドコールでトランザクションをブロックチェーンにつなげる数百のスマートコントラクトを保有している場合、スケーラビリティーが問題になると考えている。

メタマスクのようなウェブブラウザのプラグインでは、ユーザーは複数のユーザーインターフェースに煩わされることなく、ブラウザ内部の鍵でトランザクションにサインできる。しかしこれらの鍵をブラウザー内部に保持することは安全ではないとバリトン氏は語った。

「多くの人がDeFiアプリを使うためのサポートを探しているが、あまりに危険なため、大きな額は処理できなかった。鍵がブラウザー内部にあり、簡単にハッキングできる」

メタマスクの拡張機能がポップアップしてブラウザー内部の鍵でサインするのではなく、トラストロジーのAPIがトランザクションを処理するトラストヴォルトのプラグインに切り替わり、ユーザーのサインはメタマスクに戻されてブロックチェーンに送信される。

「シームレスなユーザー体験。レンディング、取引、デリバティブの作成など、数百もの分散型アプリケーション(Dapps)にアクセスできる使い勝手を手にすることができる」とバトリン氏は語った。

「しかも、秘密鍵、顧客確認(KYC)、アンチマネーロンダリング(AML)、マルチシグ(multi-sig)のすべての安全保護対策を備えている」

エンタープライズ・ブロックチェーンの概念実証(proofs-of-concept)もまた興味深いユースケースとバトリン氏。

例えば、仮にスペインの大手銀行サンタンデール(Santander)がイーサリアム上で債券を発行すれば、通常、プロトタイピングチームはメタマスクをワークフローの一部として使い、ウェブサイトに遷移して債券を購入し、トランザクションにサインする。

「一旦(概念実証の)一部が完了したら、安全に行う方法を考えなければならない」とバトリン氏は語った。

「すべてがバラバラになる。ウォレット、鍵の保管方法、カストディについて考える必要がある──極めて大変な仕事」

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:Vault door image via Shutterstock
原文: Ex-Bankers Offer First Hot Wallet for Institutional-Grade Crypto Finance

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