マネックスG、暗号資産事業は増収もナスダック上場費用で損失【2025年3月期決算】

マネックスグループは5月9日、2025年3月期の決算を発表。米国事業・クリプトアセット事業がけん引役となる一方で、暗号資産取引所Coincheck(コインチェック)の親会社CoincheckGroup(コインチェックグループ)の米ナスダックへのSPAC上場にかかる一過性費用の影響から税引前利益は38億円の赤字(前年は472億円)となった。ただし、同社が独自に算出する「実力値ベース」(一過性の損益を除外した数値)では、税引前利益は136億円としている。
クリプトアセット事業は増収、IEO・ステーキングが寄与
クリプトアセット事業は、暗号資産市場の回復を受けて、⾦融費⽤及び売上原価控除後営業収益前年比45.7%増の134億円となった。2024年第1四半期(4〜6月期)のIEO(Initial Exchange Offering)も増収をけん引した。

ただし、前述のとおり、CoincheckGroupの上場に関連して、専門家報酬、株式報酬などの一時費用を計上しており、同セグメントの税引前利益は135億円の赤字となった。一過性の要因を除いた実力値ベースでは、税引前利益を47億円としている。
今後の取り組みとしては、マネックスグループ 取締役会議長兼代表執行役会長の松本大氏が以前、CoinDesk JAPANのインタビューに語っているように、ナスダック上場企業としての知名度や信頼性、具体的にはナスダック上場企業の株式という「世界共通買収通貨」を手に入れたことで、「M&Aやテクノロジー人材の採用により事業を拡大」していく。
国内に関しては、顧客基盤を軸に「事業法人および機関投資家向けサービスや事業会社のweb3ビジネスを支援するサービスにも注力」する。暗号資産取引所Coincheckの口座数は229万口座、預かり資産は約8600億円にのぼる。
またIEOについてはこれまでに3件を実施、現在、Fanpla社による第4号案件に向けた準備を進めている。

|文:増田隆幸
|画像:マネックス提供