
暗号資産(仮想通貨)取引所のCoincheckは5月9日、ビットコイン(BTC)のセキュリティ共有プロトコルを開発するBabylon Labsおよびブロックチェーンを用いた金融サービスを提案するNext Finance Techとの間で、戦略的協業および事業提携の検討を開始したと発表した。
3社は、法人および機関投資家向けにビットコインステーキングサービスの提供を目指す。
Babylon Labsが開発するビットコインステーキングプロトコルは、ビットコインのセキュリティを活用してプルーフ・オブ・ステーク(PoS)ブロックチェーンの安全性を高めることを目的としている。
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このプロトコルにより、ビットコイン保有者は、PoSチェーン、レイヤー2、データ可用性(DA)レイヤーといった他の分散型システム上で、自身のビットコインを直接ステーキングし、報酬を得ることが可能になる。
今回の協業検討において、Babylon LabsはCoincheckへのステーキングプロトコル導入支援を担う。
Next Finance Techは、ステーキングサービスにおけるノードオペレーターとしての実績を有しており、同社が2025年2月から提供を開始した「法人向けビットコイン運用管理サービス」と、Coincheckが提供する機関投資家向けサービス「Coincheck Prime」が連携する形で、法人顧客にBabylonのプロトコルを提供する具体的な方法を検討していく。
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近年、国内外で企業によるビットコイン保有や暗号資産決済への対応が進んでおり、これらの企業はインフレヘッジなどの財務戦略目的での保有を表明している。
3社は、ビットコインステーキングプロトコルの提供を通じて、これらのビットコイン保有企業に対し、新たなインカムゲインの機会を創出することを目指す。
このような暗号資産を単に保有するだけでなく、ステーキングやバリデータ運営といった形で積極的に「運用」し、収益機会を追求する動きは、国内の暗号資産関連企業の間でも広がりを見せている。
例えば、100億円規模の暗号資産投資を行うリミックスポイントは5月8日にバリデータ事業への参入を発表した。
同社はこれまでもビットコインや複数のアルトコインへの投資を積極的に行ってきたが、今後はバリデータとしてブロックチェーンネットワークの運営に直接関与し、ステーキング報酬を得ることも目指す。
|文:栃山直樹
|画像:リリースから