ステーブルコインは「国際決済の重要なイノベーション」:リップル幹部【Consensus 2025】

- ステーブルコインは、断片化した旧来の金融インフラに代わる、優れた選択肢として国際決済を再構築している。
- 将来的には利回りつきステーブルコインも登場するとみられているが、規制上の課題は依然として残されている。
ステーブルコインは暗号資産トレーダー向けのツールから、グローバル金融のバックボーンへとシフトしつつあり、「国際決済の重要なイノベーション」となっていると、リップル(Ripple)のステーブルコイン部門シニア・バイスプレジデント、ジャック・マクドナルド(Jack McDonald)氏は15日、「Consensus 2025」のステージで語った。
米暗号資産取引所クラーケン(Kraken)のコンシューマー部門責任者マーク・グリーンバーグ(Mark Greenberg)氏とともに登壇したマクドナルド氏は、ステーブルコインの台頭はグローバル規模での資金移動の「進化」を示していると述べた。
「米ドル決済の代替的な手段だが、摩擦のない、費用対効果の高い方法で決済を実現している」
リップルとクラーケン、それぞれの戦略
リップルは独自ステーブルコイン「RLUSD」でこの分野に参入。時代遅れの断片化したクロスオーバー決済システムをリプレースするという、より広範な取り組みの一環だ。
「我々は、決済におけるステーブルコイン利用を確認した。それがこの事業に参入する主な動機となった」
一方、グリーンバーグ氏は、現行の金融システムの非効率性を強調した。
「世界中でお金を動かすことが、あまりにも難しすぎる。ステーブルコインはその答えであり、いま我々は転換点にいるだろう」
クラーケンは、暗号資産企業と伝統的金融企業によるコンソーシアム「Global Dollar Network」の創設メンバーであり、このコンソーシアムはステーブルコイン「USDG」を発行している。
次の注目は“利回り付き”ステーブルコイン
両氏は、次の注目は利回り付きステーブルコインだが、規制の対応がまだ追いついていないと述べた。
「預金を保有しているなら、利回りを得られるべきだ」とグリーンバーグ氏は語ったが、国や地域によって規制スタンスは異なると指摘。例えば、EUのMiCA規制のもとでは、USDGは利回りを提供できないと述べた。
マクドナルド氏も、RLUSDに利回りを付与したいと考えているが、そのためには米国では「証券」として登録する必要があると述べた。
「まったく別のプロセスが必要になる」
今後5年で金融の構造を変える
両氏は、今後5年でステーブルコインはより広く普及し、伝統的金融の構造を再構築するという意見で一致した。
マクドナルド氏は、リップルがプライムブローカーのヒドゥン・ロード(Hidden Road)を買収したことに触れ、ステーブルコインを資本市場における担保やクロスマージンとするための重要なステップと述べた。
グリーンバーグ氏は、ステーブルコインは金融システムに組み込まれることで、「もはや誰も語らなくなるだろう──ちょうど今、SWIFTや電信送金について誰も話さないように」と語った。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:クラーケンのグリーンバーグ氏(中央)とリップルのマクドナルド氏(右)、CoinDesk
|原文:Stablecoins Bring ‘Meaningful Innovation for Global Payments,’ Ripple Exec Says