ビットコイン、イランとイスラエルの緊張高まりを受けた下落から約10万6000ドルまで回復
  • ビットコインは下落から回復し、約10万6000ドルまで上昇したが、依然として史上最高値からは6%安となっている。
  • CoinDesk 20 Indexは4.4%下落し、イーリアム、アバランチ、トンコインは6%~8%下落した。
  • 暗号資産(仮想通貨)関連株はほとんどが下落しているが、サークル(Circle)はIPO後の上昇とアマゾン(Amazon)とウォルマート(Walmart)のステーブルコインへの関心を受けて13%上昇した。

暗号資産市場は、イスラエルとイランの対立激化に伴う6月13日朝の動揺からやや回復傾向にある。

10万2600ドルまで急落したビットコイン(BTC)は一時、10万6000ドル付近まで回復したが、米国午後の取引時間中にイランを標的とした新たな空爆の報道を受けて再び下落した。ビットコインは過去24時間で1.6%下落し、当記事執筆時点では10万5200ドルで取引されており、依然として史上最高値との差は6%弱となっている。

一方、ミームコイン、ステーブルコイン、取引所コインを除く時価総額上位20位の暗号資産を指数化したCoinDesk 20 Indexは、同じ期間に4.4%下落した。

イーサリアム(ETH)、アバランチ(AVAX)、トンコイン(TON)などが最も大きく下落し、6%~8%安となった。

一方、暗号資産関連株も好調とは言えない。ほとんどの株式は下落しており、特にビットコインマイナーのマラ・ホールディングス(MARA Holdings)とライオット・プラットフォームズ(Riot Platforms)はそれぞれ、5%と4%下落している。

例外的なのは、ステーブルコイン発行を手がけるサークル社で、先日の新規株式公開(IPO)からの勢いを依然として享受している。

サークル社の株価は13日、13%上昇しており、小売大手のアマゾンとウォルマートがステーブルコインの検討を開始したという報道が、さらに勢いを後押ししている。

伝統的市場は戦争に関して特に懸念を示していないようだ。金価格は1.3%上昇し、新たな史上最高値更新に向けた準備を進めている可能性がある一方、S&P 500とナスダックはそれぞれ0.4%安に留まっている。

ビットコインの次なる展開は?

「これまでの反発は良好だが、下方向への追随が不足している」と、人気暗号資産トレーダーのSkew氏は13日のXへの投稿で述べた。

Skew氏はさらに、地政学的なリスクが高まる中、ビットコインが伝統的市場と密接な相関関係にあるため、市場参加者は週末にかけて慎重な姿勢を維持する可能性が高いと指摘した。

長期的な時間軸では、一部のアナリストはより深い引き戻しのリスクを指摘している。

10xリサーチ(10x Research)の創業者マーカス・ティールン(Markus Thielen)氏は、ビットコインが10万6000ドルを下回ったことはブレイクアウトの失敗を意味し、トレーダーは急いで押し目買いに走る前に、より有利な状況を待つべきだと指摘した。

10x Research

ティールン氏は10万ドルから10万1000ドルのゾーンを重要なサポート水準として強調し、この水準を下回ると、昨年夏に似た広範な保ち合い局面への回帰を示す可能性があると警告した。

ビットコインレンディングを手がけるLednの最高投資責任者であるジョン・グローバー(John Glover)氏は、ビットコインが記録的な高値から調整局面に入り、8万8000ドルから9万3000ドルまで下落する可能性があると主張した。

グローバー氏が指摘する、ビットコインのより大きな上昇トレンドにおける潜在的な調整局面(Ledn/TradingView)

グローバー氏は、ビットコインが上昇トレンドを再開する前に、9万ドルのレベルがオポチュニスティックな投資家にとって有利なエントリーポイントとなる可能性があると述べ、次のように続けた。

「このパターンが完了すれば、次に13万ドルの領域への上昇が始まる見込みだ」。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:6月13日のビットコインの値動き(CoinDesk)
|原文:Bitcoin Bounces to $106K After Iran-Israel Jitters, but Analysts Warn of Deeper Pullback