利益確定の動きが暗号資産市場を席巻──ロングポジションで4億ドル以上の清算
  • 暗号資産市場では大規模な清算が発生し、24時間で6億7500万ドル以上が消失し、4月以来の大幅な下落となった。
  • ビットコインとイーサリアムの損失が最大で、それぞれ3億3300万ドルと1億1300万ドルの清算が発生した。一方、ドージコインは7.6%以上下落した。
  • 最近の上昇にもかかわらず、トレーダーは慎重な姿勢を維持しており、資金調達率の上昇と過去の清算イベントの記憶が投資意欲を冷やしている。

7月14日の後半に利益確定とリスク回避の波が暗号資産(仮想通貨)市場を席巻し、ロングトレーダーは24時間で4億600万ドル(約588億7000万円、1ドル=145円換算)以上が清算された。

ショートサイドの損失は2億6900万ドル(約390億500万円)で、清算総額は6億7580万ドル(約979億9100万円)に達し、4月以来最大の損失となった。

最も大きな打撃を受けたのはビットコイン(BTC)のロングで、3億3300万ドル(約482億8500万円)以上の強制決済が発生した。これに加えてイーサリアム(ETH)が1億1300万ドル(約163億8500万円)、エックス・アール・ピー(XRP)が3600万ドル(約52億2000万円)の損失となった。ソラナ(SOL)とドージコイン(DOGE)も打撃を受け、それぞれ約1400万ドル(約20億3000万円)の損失を出した。

ドージコインは主要通貨の中で最もパフォーマンスが悪く、投機筋の熱気が失われたため、1日で7.6%以上下落した。BTCとETHもそれぞれ3.1%と2.6%下落し、ほぼ1週間続いた上昇相場の後、落ち着きを取り戻した形になった。

Coinglassのデータによると、単一で最大の清算はバイナンス(Binance)における9810万ドル(約142億2450万円)のBTC/USDTのロングポジションによるものだった。

ビットコインが過去最高値付近で取引されているにもかかわらず、一部の取引所は熱狂から距離を置き始めている。デリバティブ取引のフローは、トレーダーが上昇を追い求めようと急いでいないことを示唆しており、資金調達率(ファンディングレート)の上昇によりレバレッジ取引のコストが上昇している。

市場は過熱した相場が終わり、一息つく時期を迎えているのかもしれない。

QCPキャピタル(QCP Capital)は顧客向けメモの中で、「BTCは未知の領域にあり、短期的な上限は依然として不透明だ」と述べている。「資金調達率は高く、2月の20億ドル(約2900億円)の清算イベントの記憶は未だに残っている」。

QCPは、オプションデータは慎重な楽観主義を浮き彫りにしていると指摘している。短期インプライド・ボラティリティ(IV)は上昇したものの、2023年の平均を大きく下回っている。 9月と12月のリスクリバーサルは依然としてコールオプションに有利であり、長期的な強気相場を示唆しているものの、トレーダーは短期的な上昇を追いかけることに消極的になっているようだ。

一方、一部のアナリストは、トレーダーに対し、勢いを必然と誤解しないよう促している。機関投資家の需要増加とマクロ経済のシフトは間違いなく上昇を後押ししているが、同時にリスクも高めている。

ビットゲット・リサーチ(Bitget Research)のチーフアナリストであるライアン・リー(Ryan Lee)氏はCoinDeskへのメモで、「第3四半期までに15万ドルに到達する道筋は、ETF(上場投資信託)への流入、供給制約、そしてドル安やアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)による利下げの可能性といったマクロ経済の追い風に支えられ、ますます現実味を帯びてきている」と述べた。

「供給不足と機関投資家の需要の高まりを背景に、第3四半期までに15万ドルに到達する可能性はますます高まっている。しかし、これは一方通行ではない。利益確定、金利投機、地政学的リスクが短期的な反落を引き起こし、BTCを10万5000ドルから11万5000ドルの統合ゾーンに引きずり込む可能性がある」とリー氏は付け加えた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Dogecoin Leads Losses Among Majors as Profit-Taking Grips Crypto Market