- DeFi市場は、イーサリアムの価格が60%急騰したこと、および機関投資家の関心の高まりを背景に、3年ぶりの好況を迎えている。イーサリアムは、TVL(預かり資産)の約60%を占め、支配的な地位を維持している。
- ステーキング以外にも、投資家はリステーキングやEulerとSpark間のルーピングといった高度な戦略を活用し、比較的低いリスクでステーブルコインに対して最大25%の利回りを獲得している。
- ソラナ(Solana)、アバランチ(Avalanche)、スイ(Sui)はTVLで二桁の成長率を記録した一方、ビットコインは価格高騰にもかかわらず、DeFi面での成長は依然として控えめな水準に留まっている。
分散型金融(DeFi)市場の規模は7月28日、3年ぶりの高水準である1530億ドル(約23兆円、1ドル=149円換算)に達した。
これは、イーサリアム(ETH)が4000ドルへ向けて値上がりしていることと、リステーキングプロトコルへの大規模な資金流入が要因となっている。
DefiLlamaのデータによると、過去1週間の資金流入と資産価格の上昇により、DeFiセクターは2024年12月時の記録を突破し、ド・クォン(Do Kwon)氏の600億ドル規模のテラ(Terra)ネットワークが崩壊した2022年5月以来の最高水準に達した。

イーサリアム価格は、イーサリアム財務戦略を採用するシャープリンク・ゲーミング(Sharplink Gaming)による13億ドルの投資や、ビットマイン(BitMine)による20億ドルの投資を含む一連の機関投資家による投資を受けて、過去30日間で2423ドルから3887ドルへと60%上昇した。
イーサリアムは依然として、DeFiのTVL(預かり資産)において独占的な地位を維持しており、オンチェーンでロックされている資本の59.5%を占めている。
このうち大部分は、リキッドステーキングプロトコルのリド(Lido)と、レンディングプラットフォームのアーベ(Aave)に起因しており、両者はそれぞれ、320億ドル~340億ドルのTVLを保有している。
イールドファーミングの競争
機関投資家がイーサリアムのような資産を取得していることに加えて、投資に対してイールド(利回り)を確保する投資家たちの活動の活発化が、DeFiの好況を支えている。
投資家はイーサリアムを直接ステーキングして年間1.5%~4%の控えめな利回りを獲得するか、さらに一歩進めてリステーキングプロトコルを利用し、ネイティブイールドとDeFiエコシステム全体で追加の利回りを獲得するために使用できるリキッドステーキングトークンを獲得することもできる。

XユーザーのOlimpioCryptoは、USDコイン(USDC)とsUSDCで年間最大25%の利回りを低リスクかつ完全な流動性を維持しながら実現できる、より複雑な戦略を公開した。
この戦略は、Unichain上のEulerとSparkの間で資産をループさせる仕組みだ。ユーザーはEulerにUSDCを預け入れ、sUSDCを借り入れ、再び預け入れ、このプロセスを繰り返す。
Sparkからのインセンティブ(SSR + OP報酬)とEulerからのインセンティブ(USDC助成金、rEUL)がリターンを向上させる。
より簡単だが利益率が低い代替案は、SparkでsUSDCを発行し、EulerでUSDCの借り入れ/貸し出しをループさせる方法だ。
UIの相違はあるものの、どちらの方法も強力なリターンを生んでいると報告されており、インセンティブが変わらない限り、約1週間持続する見込みだ。
ソラナと他のブロックチェーン
イーサリアムネットワークに多くの注目が集まるのは当然だが、ソラナのTVLも過去1カ月間で23%増加し、120億ドルに達した。さらに、DefiLlamaによると、Sanctum、Jupiter、Marinadeなどのプロトコルは、広範なソラナエコシステムでその他のプロトコルを上回る大規模な資金流入を記録している。

投資家たちは、TVLが今月それぞれ、33%と39%増加したアバランチとスイにも資金を投入している。一方、ビットコイン(BTC)のDeFiエコシステムは比較的静かで、12万4000ドルという新たな史上最高値への急騰にもかかわらず、TVLはわずか9%増加して62億ドルに達するに留まっている。
|翻訳・編集:山口晶子
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|原文:DeFi Sector TVL Hits 3-Year High of $153B as Investors Rush to Farm Yields


