コインベース株、「売り」に格下げ:コンパス・ポイント
  • コンパス・ポイント(Compass Point)は、コインベース(Coinbase)株の評価を「売り」に格下げし、年末の目標株価も330ドルから248ドルへと引き下げた。
  • この格下げは、個人投資家の参加の弱まり、サブスクリプション収益の減少、そしてステーブルコインとDeFiにおける競争の激化に対する懸念を反映したものである。
  • コンパス・ポイントのアナリストらは、期待外れの決算報告と暗号資産(仮想通貨)規制の不確実な見通しを考慮すると、コインベースの評価額は過大であると見なしている。

証券会社コンパス・ポイントは、予想を下回る決算報告と、暗号資産関連株への関心の薄れが主要なリスクであるとして、コインベース株の評価を「売り」に格下げ、年末の目標株価も330ドルから248ドルに引き下げた。

コインベース株は、前週の決算報告に伴う18%の急落の後、8月4日には316ドルとわずかに値上がりして取引されている。

「我々は現在の暗号資産サイクルに対して依然として建設的な姿勢であるものの、第3四半期は不安定な展開となり、8月と9月の季節的な弱さ、そして暗号資産関連株への個人投資家の関心の薄れが見られるだろうと予想している」とコンパス・ポイントのアナリストらは指摘し、次のように続けた。

「また、ステーブルコインの競争激化が、2025年後半のコインベースとサークル(Circle)の双方の評価額に重くのしかかるとも予想している」。

コインベースは第2四半期の決算が期待に届かず、第3四半期の初期の動向もさほど改善されているようには見えない。

投資家が安定した収益源と見なしているサブスクリプションおよびサービスからの収益は、第2四半期にウォール街の予想を8%下回った。第3四半期の予想の中間値も、コンセンサスを5%下回っている。

「『その他のS&S(サブスクリプション&サービス)収益』が、コインベースの期待外れな第2四半期決算の主要な要因であった」とコンパス・ポイントは述べ、多くの投資家が長期的な成長を牽引すると期待していたCoinbase Oneやその他のテクノロジー関連手数料の、前四半期比での急激な減少を指摘した。

コンパス・ポイントによる格下げは、先週の落ち込みから広範な株式市場が回復しているにもかかわらず、暗号資産市場が勢いを失いつつある中で行われた。

ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は上昇に苦戦しており、個人投資家は暗号資産財務戦略企業、すなわち大量のビットコインやその他の暗号資産をバランスシートに保有する企業の株式から手を引いているように見受けられる。これにはコインベースやストラテジー(Strategy)社が含まれるが、ストラテジー社は最近、ビットコインの購入ペースを緩め、株式発行ではなく優先株式による資金調達にシフトしている。

コンパス・ポイントのアナリストらは、暗号資産市場におけるレバレッジの増加がさらなるリスクをもたらすと警告した。7月の値上がりは積極的な取引に支えられたが、清算の短期的な減少後に未決済の建玉(オープン・インタレスト)が回復しているため、より深い売りが、再び一連の強制的な売りを誘発する可能性がある。

評価額もまた懸念事項である。第2四半期の軟調な決算にもかかわらず、コインベース株は5月から7月にかけて56%上昇した。

コンパス・ポイントは、「コインベース株は依然として、年換算の第3四半期EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)のウォール街予想の44倍で取引されており」、個人投資家による取引における逆風、ETF(上場投資信託)やDeFiとの競争、そして近い将来に見込まれる規制上の大きな進展が限られていることを考えると、これは高すぎると警告している。

コンパス・ポイントはまた、規制改革の鍵と見なされている法案「CLARITY(クラリティ)法」が今年中に可決されるかについても懐疑的である。

「我々は、市場構造法案が今年中に可決されることに関してはより懐疑的である」とコンパス・ポイントは述べ、代わりに2026年初頭に動きがあると予測している。

コインベースは、ユーザー向けに株式取引を提供するというアイデアを打ち出したが、アナリストらは、特にロビンフッド(Robinhood)のような競合他社がすでにはるかに先行しているため、それが意味のある収益源になるとは確信していない。

「暗号資産のパフォーマンスが弱いという状況の中で、コインベースの評価額のプレミアムは、以前のレンジに圧縮されて戻ると見ている」とコンパス・ポイントのレポートは結論付けた。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Iryna Budanova / Shutterstock.com
|原文:Coinbase Crypto Momentum Stalls, Valuation Stretches: Cut to Sell at Compass Point